partB

DとHはしかめっ面をしていたが、
浩志に聞いた。

―じゃ、もう一度事情聴取をしようか。
―は?何でもう一度しないといけないわけ?
―一応、アリバイはないとはいえども行動はしていたんだろう。
 それに、それぞれどんな奴なのかを知りたいしな。



そして、一時間後、署に3人が全員集められた。
全員同じような顔で誰が誰か分からない。
浩志は3人にすいませんねと言うような顔をしながら、
その部屋の隅で座っていた。

Dは3人に向かってこう聞いた。

―では、夕方、何をしていましたか。では、某名さんから。

某名と呼ばれた男は一番左の席から立ち上がった。
鼻くそをほじったり、携帯のメールを常々確認している。
ストラップはどうやらドコモダケらしかった。

―んとね、俺は・・・あぁ、ワンセグでテレビ見てたよ。
―普通のテレビでは見なかったんですか?
―いや、テレビはあの時間は停電だったからさ。
 俺の家は須磨の近くだし、そこの刑事さんの近くだし。
 まぁ、全員停電していたんだろうね。
―え?そうなんですか?
―だね。パチンコも少し郊外で。
 だから、当たりが良くなくて今日はイライラしているんだよね。
 早く帰らして?
―あ、はい。じゃあ、もう一つ質問を。
 あなたと須磨さんは親友だったそうで。
―あぁ、同じ神戸大学文学部だったからね。
 まぁ、俺は途中で挫折してあいつはネットから大成功した。
 ・・・それを恨んでいると考えるつもり?
―いや、そう言うわけではありませんよ。

Hは何ともだらしない男だなぁと思って、某名を見ていた。
某名はチャオが好きなのか、Hを見ると、
「お、ヒーローじゃん」とつぶやいた。

次にDは「通称」DXの男を呼び出した。
髪の毛はおとなしそうに垂れ下がっていた。
身長もそう高くないらしい。

―えっと、僕はあの日は風邪をひいていて、
 締め切り日でも無かったから、
 明日にしてくれと彼に頼みました。正午頃で彼は家にいました。
―その日は何か用事でも?
―えぇ、彼が今度出す小説の表紙のデザインを見せてくれと。
 現物を頼まれたので。
 まぁ、結局それも出すことは出来なかったんですけどね。
―なんて名前の小説で?
―えっと、汚職警察官を暴くというあなたみたいなチャオ探偵の、
 話らしいです。
―へぇ。

最後に右端の席から立ち上がった男が話し始めた。
いかつい顔をしていて、髪の毛はつんつんと立っている。
Dは怪しい目で見ないようにと笑顔を取り繕って彼に聞いた。

―兄弟だそうで。須磨さんとは。
―まぁ、あんなのが兄弟だなんて思いたくありませんでしたが。
―何かあったんですか?
―あいつは活躍する中、俺はいつでも根暗だったんですよ。
 だから俺はいつもあいつと対立して、
 学校でもあいつの友人から虐められて・・・散々でした。
 だけど、そんな俺も今になってやっと結婚が決まりました。

彼は少しをおいて説いた。

―愛する人がいるのに、普通人を殺すのですか?
―それは・・・。
―そして、昨日は一人でこの指輪を買ってきたんですよ。
 彼女の分もね。
 夕方はそれの帰り道で車に乗ってました。



その夜。彼らは浩志の家にいた。
どうやら、某名の家とも須磨の家とも近いらしかった。
浩志とHはずっと談笑していた。
Dはソファーに座ってタバコをふかしながら何かを考えていた。
どうやらあの紙らしかった。

―ふう、まさかこんな近くで夕方に殺人おこったなんてね。
―ビックリですよねー。
―俺ね、あの日もずっと昼から夜までソニックしていたんだよね。
―へぇ、あのGCでですか?
―そ、あ、そうだ。俺のチャオ見てみる?
―あ、良いですねー。

二人はDがまじめな顔して考えている中で、
テレビをつけてGCの電源をつけた。
そして、チャオガーデンにはいると、カオスチャオがいた。
しかもオニキス色だ。
Hは目をきらきら輝かせてそれを見ていた。
チャオのくせにチャオのゲームが好きらしい。

―ったく、チャオがチャオを好きになってどうするんだよ。
―うっさいわね。D。良いじゃない。
―ま、良いんだけどさ。

Dはまた顔を下に向けて考え込み始めた。
外の星は犯人を知っているのだろうかと考え込みながら。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第258号
ページ番号
2 / 4
この作品について
タイトル
D&H(和田須磨子殺人事件)
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第258号