第2話
チャオに人権を適用するかしないか、もめにもめている国会。
事態はついに、流血の惨事へと発展した。
「チャオに人権を」の発案者である野党議員が演説中に狙撃され死亡。
犯人は過激派の活動家で、数日後には逮捕されたが、日本を震撼させた。
そんな中・・・
夢を継ぐ者 ~第2話・哀れな心~
【医者】「一週間くらい寝れば大丈夫ですよ。それまで、こっちでちゃんと面倒みますから、安心して下さい。」
【倉田】「ありがとうございます。」
医者に見せた所、そのチャオは幸いにも傷が浅く、手当てすれば大丈夫だろうとの事。
4人は安心して家に帰った。
【中払】「そうだ、あの子に名前を決めなきゃ!」
【大柳】「“アイツ”に任せればいいんじゃない?」
【吉原】「でも、また変な名前つけそうじゃない?」
【倉田】「言えてる・・・」
【大柳】「んじゃ、“シフォン”でどう?」
【中払】「う~ん?どうだろう?」
【ミスト】「サンセイチャオ!」
【レーナ】「イイチャオ!“シフォン”チャオ!!」
【吉原】「・・・この子達には逆らえないからね。『シフォン』で決まり!」
【ウララ】「バンザイチャオ~!!」
国会。
週刊誌に「野党議員射殺は与党の陰謀」という記事が掲載され、ますます論戦はヒートアップ。
【野党議員】「この記事の内容が本当ならば、総理はどう責任を取るんですか!?」
【総理】「その記事は事実無根、ただのでっちあげです。
現在政府としても、出版社を提訴する方向で調整しています。」
同情もあり世論は野党側に傾いていたが、国会内では野党きっての論客がいなくなったこともあり、やや雰囲気が与党に傾きつつあった。
そんなこんなで一週間が経った。
4人は医者のところにいるシフォンを迎えにいった。
【医者】「傷はすっかり治ってる。ただ、精神的なショックが大きいみたいで、なかなか喋ってくれないね。」
【吉原】「そうですか。でも、大丈夫です。後はあたし達がちゃんと面倒みますので。」
医者の横から出てきたシフォンを、ウララ達4匹が取り囲む。
【ウララ】「ダイジョウブチャオ?」
【レーナ】「ゲンキダスチャオ!」
でも、何を喋っても、シフォンは応えてはくれなかった。
帰り道。
【吉原】「まず、アイツのところに寄っていかないと。」
【大柳】「でも、喋らないのに大丈夫かなあ?」
【倉田】「それは誰が面倒見たって同じ事。ならば、アイツに預けておく方がいいんじゃない?」
【大柳】「・・・だよね~。」
アイツ。
外村健一、やはり4人の中学時代の同級生で、高校生ながらチャオを10匹以上飼い、研究の分野で活躍している。
中学を卒業してからも、4人とは連絡を取り合ってて、チャオ育成についてのアドバイスを受けたりしていた。
【外村】「ショックで喋れない子かぁ・・・病気とかは専門じゃないからなぁ・・・
でも、とにかく預かっておくよ。その筋の専門家と連絡を取ってみる。
あ、それと・・・」
【中払】「それと?」
【外村】「できるだけ休日は、この子と一緒に遊んでやって。外に出る事によって多少は変わってくると思うから。」
【倉田】「アンタは?」
【外村】「オレは休日は家に篭って研究だから。他の子達も、遊ばせてやらないとな・・・」
ちなみに、彼の専門はチャオの知能について。
遺伝や進化などは、リアル化の前に研究が終わった(そうでないとリアル化が不可能だった)が、
この分野は実際にチャオをリアル化してみないと分からないので、彼の活躍の余地があったのだ。
さて、翌日の月曜日のこと。
4人とも、学校から家に帰ったら、自分のチャオがいないのだ。
そして、一斉に4人でケータイへ電話をかけようとするから、逆に話し中で繋がらない始末。
【吉原】「ウララ、どこにいったの??」
【中払】「バジル、どこ~???」
【倉田】「お~い、ミスト~?」
【大柳】「レーナ、出てきて~!」
続く