~第五十六話~
屋上に戻ったときには、テルとミユキとユリカは起きていた。
みんな起きているように見えたが、ただ一人だけ起きていないものがいた。
テル「ソニーおはよう。」
ソニー「あぁ、おはよう。あいかわらずお前は目覚ましが鳴った瞬間起きるんだな。」
テル「じゃないとスッキリしないんだよ。」
ソニー「昔、お前起こそうとして機械に殴られたこともあったな。」
テル「あ、それはごめん。」
そういって、テルは誤った。
やっぱ、純粋な心の持ち主なんだなテルは。
ソニー「テルに比べてあいつときたら・・・・・。」
あいつというとそう。
ナックーのことである。
ナックー「誰だ!今悪口言ったやつ!!・・・・・ZZZ」
ミユキ「なんというツッコミの寝言・・・。」
ソニー「・・・・・ほおっておくか。」
ソニーは辺りを見渡したが、エリの姿が見えない。
どこにいったんだ?
ソニー「なぁテル。エリを見かけなかったか?こっちに戻っていったはずなんだが・・・。」
テル「あぁ、シャー達を迎えに行くとか言ってたよ。」
あぁ、なるほど。
エリのエスケープを使っていったんだろう。
ミユキ「そういや、エリの技エスケープっていうけど、それって逃げるって意味じゃなかったっけ?」
ソニー「・・・・・そうなのか?」
テル「まぁ、本当は逃げる時に使う術なのかもしれないよ。ワープできるってことは逃げることもできるんだし。」
なんか知らんが、変な話題で盛り上がってしまった。
・・・・・ん?まてよ・・・そういや・・・・・。
ソニー「そういや、結局『幻想刀』ってなんなんだ!?」
テルとミユキが、あっ・・・と声を漏らす。
その様子を見たユリカが近づいてきた。
ユリカ「どうしました?」
ソニー「いや、エリとかヴァルバドズとか使っていた幻想刀って結局なんなんだろうって話なんだが・・・・・。」
テル「そういや、出発以来聞いてなかったね・・・。」
と、そこに。
タイミングよく、シャーとロミー、そしてエリが帰ってきた。
ミユキ「エリエリエリエリ!!」
といいながら近寄っていくミユキ。なんの呪文だそれは。
エリ「な、なんだ?」
ミユキ「ほら!あの幻想刀って結局なんなの!?宝剣!?勇者の剣!?あー!!もしかして、大魔王の剣とか!?」
そんなゲームみたいな剣どこにあるんだよ。
エリ「・・・・・まだ話してなかったのか?」
シャー「あぁ、そういや聞いてなかったな。あの時以来。」
エリ「・・・・・分かった。もう教えてもいいだろう。」
ミユキ「やったー!!」
とはしゃぐミユキ。
どうやら、未知なる存在にあこがれているようだ。
そして、エリの話は始まる。
幻想刀とは、実はチャオの武器ではない。
人間が心の奥底に持っている武器なのだ。
人の思いが具現化して、それを成し遂げるための武器である。
しかし、その刀を見つけられる人はほとんどいない。
具現化するのは、誰よりも負けないような思いを持っている時だ。
その刀は、刀だけではない。
ヴァルバドズのように斧だったり、弓だったり、爆弾だったり、遊具だったり、マントであったりする。
その具現化は守りたいものがある、やってみたいことがあるなどの思いが強いときである。
過去は、武器のような形ででる幻想刀も多かったが、今では目で見えないような霧状。
つまり、人のあらゆる能力をあげるような力が多くなった。戦うことがなくなってしまったからである。
人間の口癖で『努力するものは必ず成功する』とか言われるのは、努力する思いが伝わって幻想刀が具現化し、その力で能力が上がったもの達がいるからである。
今では知られることのない。これが人間の努力すれば成功する理由の秘密だ。
だが、チャオでは普通に生きているだけなら0%発生しない。
これは、人間特有の能力であるからだ・・・・・。
エリ「ただし、チャオでも使えるらしい。ただし、人間と同等の思いを持たなければならないらしいけどな。」
ソニー「そうなのか・・・・・エリは思いが強かったのか?」
エリ「国を全力で守りたいと思ったからな。必死だった。」
シャー「・・・・・もう一つ質問いいか?」
シャーが突然質問をしてもよいか、エリに聞いてきた。
エリ「なんだ?」
シャー「幻闘術の最終形態・・・・・光・幻闘術をお前は知っているのか?」