~第二十二話~
ソニーは重たいまぶたを開いた。いつしか見た光景・・・。
ソニー「ここは・・・エリが歌っていた湖か・・・。」
雨がぽつぽつ降ってきた。他のチャオ達も目を覚まし立ち上がる。
一人以外は・・・・・。
ユリカ「シャルお兄ちゃん目を覚まして!!」
ナックー「おいロミー!!早くシャルを回復を・・・・・。」
しかしナックーの言葉は、ロミーの涙によってさえぎられた。
テル「ロミー・・・?」
ロミー「・・・・・無理・・なんだよ・・。ヒール系の回復術は・・・・傷の自然回復をはやめる・・・だけだから・・・。」
シャー「そうだ。だから致命傷は治らない・・・。」
エリ「そんな・・・。」
ナックー「・・・おい。このまま諦めるつもりか!?認めねえぞ俺はもっと他に方法はあるだろう!?なぁ!!」
その時ソニーはナックーを殴り飛ばした。
ナックー「がっ・・・!?何するんだ!?」
ソニー「お前が納得出来ないのは分かる。俺だって何とかしたい。この想いはここにいるみんなが思ってる事だ。おまえだけじゃねぇ!」
ナックーはそのまま黙ってしまった。
その時、シャルの意識が戻った。
シャル「ユリカ・・・いるか?」
ユリカ「シャルお兄ちゃん!?大丈夫!?」
シャル「・・・悪かったユリカ・・。あの時俺は兄貴を助けなかった事・・・。」
ユリカ「そんな事ないよ!私を守るために行動した事でしょう!?そんな事・・・・・。」
シャル「・・・ユリカ・・・これお前の忘れ物だ・・・・。」
そういうとシャルは一つの入れ物を取り出した。ユリカは中身を見る。
ユリカ「これは・・・眼鏡?」
中身は一つの眼鏡だった。
シャル「いままで視力が悪い癖に・・・我慢してたろ。・・・よくあちこちぶつけたり・・・・知らない人を見た時・・・・いつも怖がっていたのは・・よく見えなかったんだな・・・・いろんなものが・・・・。」
ユリカ「・・・・・・・・・・・。」
ユリカは眼鏡をかけた。周りが綺麗に見える・・・シャルの姿も・・・。
ユリカ「・・・・・雨のせいでよく見えないよ・・・・。」
ユリカはシャルの姿が見えないふりをした。
シャル「・・・ナックー。」
ナックー「なんだ・・・?」
シャル「ユリカを・・・頼む。」
ナックー「・・・そんな事いうんじゃねえ!なんで俺が・・・。」
シャル「お前は一番最初に・・・俺を助けてくれた・・・・頼む。」
ナックー「・・・もし嫌だといえば?」
シャルの腕に電気がとおる。
シャル「お前を殺す・・・。」
ナックー「はっ!冗談じゃねえ・・・。分かったぜ。お前の頼み・・・引き受けてやる。」
ソニー「ナックー・・・。」
シャル「ありがとう・・・。」
ユリカ「シャルお兄ちゃん・・・。」
シャル「ユリカ・・・。」
シャル「雨が・・冷たいな・・・。」
シャルはもう二度と目が覚める事は無かった・・・。
シャルの体を雨が寂しげに、降り注いでいた。