☆第二章☆*10話*
ガサッ…。
草が揺れる音が聞こえる。
「ん?」
あっこたちは、まだ生き残りの町やチャオがいないか探していた。
疲れすぎていて疲れも感じないほどだ。足の痛みもわからないほど。
【どうしました?あっこさん?】
アークリンアが聞いた。
アークリンアには今の音が聞こえなかった。
ラッキー、ハッピー、チャキは疲れであっこの声も聞こえなかった。
ガサガサッ…
「…なんか、音が聞こえて…何かいるの…そんな気配が」
あっこが言いかけたその瞬間。
ガサァッ!!!!!
誰かが飛び出したような音がした。
「【!!!!】」
そこにいる全員が気配に気付いた。
バサバサバサ――――・…
鳥たちが木から舞い上がって飛んでいった。
ヒュン。
その代わり、2匹のチャオが目の前へ舞い降りてきた。
右側のサファイアチャオは赤のじんべえを、左側のルビーチャオは
青のじんべえを来ている。
ずいぶん身軽な格好をしていて、あっこの中学指定の緑色のジャージ
と同じくらいだ。
2匹ともじんべえのような服の腰からは剣のつかがチラッと見える。
「…な、何…???」
あっこは驚きで声が出なかった。
【…!あっこさんっ!よけてっっっ!!!!】
アークリンアが2匹がつかに手をかけていたことに気付いたが、少し
遅かった。鋭いビームソードの様な剣は、あっこのみぞおちを見事に
ついた。
「きゃあっ!!?…うっ、うぅ…」
あっこはその場に崩れ落ちた。
【あっこ!!】
【ブリーダーッ!】
【あのバカッ…】
【あっこさん!!】
ハッピー、ラッキー、チャキ、アークリンアが口々に呼んだ。
「ぐっ…」
一つ、うめき声を上げてかすかに開いていた目を閉じた。
それから、目はすこしも開かなかった。
【あっこさん・・あっこさんッ。しっかりして!!】
アークリンアがあっこの体を揺すりながら何度も呼んだ。
【まて、アークリンア!動かすな!状態が悪化するだろうが!】
医学に詳しいチャキが動揺に震えた声で言った。
【チャキ、治療なら僕も手伝うッス!】
ハッピーがそう言うと、チャキと共にあっこのところへ駆けていった。
「・・・・・・」
あっこはうめき声一つ上げない。
アークリンアとラッキーは立ちあがった。
【僕の名前はチャペル・・。】
サファイアチャオがポツリ、と言った。
【僕の名前はチャピル・・。】
それに続くかのようにルビーチャオがポツリ、といった。
アークリンアとラッキーの気迫は変わらない。
【あとの4人も】
とチャペル。
【殺してあげる・…。】
とチャピル。
【許さねぇ・…。】
アークリンアのカンニン袋はすでに切れていた。
【寝言言ってんじゃないぞ…】
ラッキーも同じだ。
2匹ともその瞬間、チャピルとチャペルに飛びかかった。
チャピルとチャペルの余裕の笑みは変わらなかった。
*続く*