~チャオとあっこのノンフィクション~(第1章)*5話*
(パァン…)
鉄砲の合図が響き渡った。
【ラッキー…だったな。俺はシャド。君の負けは目に見えているが…。
所詮、君のレースはお遊びかどうか…見せてもらおうか】
シャドは走りながら言葉をラッキーに吐き捨てた。
【ムッ…僕は弱くなんかナイチャオ!!絶対勝ってやるチャオ~!】
しかし、そう言っている間にもシャドは一段と早いスピードで
上位のチャオをどんどん追いぬいていく。
みるみるうちにラッキーは最下位になり、シャドは一位になっていた。
シャドはすでに中間地点手前、ラッキーはびっくり箱のトラップ前
という、とてつもない差があった。*ラッキー7/8位・シャド1/8位*
【ダンディ…。レースはやったことあるのかい?】
チャオはこりずにハッピーに話しかける。
【うるさいチャオ…!いい加減ほうっておいてくれチャオ】
ハッピーはそのチャオに向かって叫んだ。
【おっと・・自己紹介が遅れた。僕はチャキナ。君とはいい勝負に
なりそうだよ、よろしくね。】
チャキナの余裕さはハッピーから見ては殺気を出しているほどのように
見えた。*ハッピー2/8位・チャキナ1/7位*
【へ―――んだぁ!!!!あなたみたいなヘソマガリのバカに
負けたりしないチャオです!】
【んだとぉ!?貴様ことオレ様に負かされる前に棄権すりゃあ
良かったのになあ!!!!ギャハハハハ】
ヒーローレース中間地点。
チャキとヒーローチャオは体で争いながら口でも争う。
【何チャオ~!!いい加減にするチャオです!二位のクセに】
【二位は貴様だろが!一位はこのチャキ様なんだよカスが!!!】
【違うですチャオっ!私の方が1㍉早いチャオです!】
【フザけんなオレサマの方が1㌢早いっつーんだよ!】
…どちらとも一位なんですけど…
その様子を見ているオモチャオと他のチャオ達は誰もがそう思った。
【あんたムカツクチャオです!名前くらい覚えないと気がすまない
チャオです~!!!】
【ぁあ!?名前はきいた方から名乗るンだよバカが!常識だっつの!】
【私はマリーチャオです!早く名乗るチャオです!】
【オレサマはチャキだ!よ~く覚えとくんだなチビ!】
その口喧嘩はいつ終わるかわかならなかった…。
*チャキ1/8・マリー1/8*
【クソぅ…シャドに追いつけないチャオ…!!】
ダークレース、中間地点。
冷静なラッキーが挑発に闘争心を燃やしている。
そうこうしている間にシャドは物当てクイズの場所を通過した。
ラッキーはスタミナとオヨギは一段と素早いので
確実にシャドとの差は縮まっている。
【―!!!シャド!やっと見つけたチャオ!】
ラッキーの目に、小さくゴールに向かうシャドが見えた。
【よし・・この道を通ればゴールだ】
シャドは余裕の笑いを浮かべた。
その瞬間。
(パカッ)
【ウワァッ!?】
シャドはいきなり開いた穴におちていった。
【今チャオ!!!】
ラッキーは貯めていたスタミナをここで全て放出した。
そして…ゴールした。
【クソ…負けた…ッ】
【勝ったチャオー!】
【でも…ラッキー。お前、すごいんだな。悪かったよ。
今度は…絶対俺が勝つッ!】
【シャド…。】
ラッキーは頷いた。
【うん!絶対また戦おう!】
そしてダークレースは幕を閉じた。
*一位ラッキー・二位シャド*
チャレンジレース中間地点
【やった…もう、オイラの勝ちチャオっス!】
チャキナを追いぬいて一位になっているハッピー。
【…それはどうかな。】
すぐ後ろにいたチャキナが呟いた。
【な…?】
それは残像のように見えた。
気がついたら追いぬかれて、チャキナが一位でゴールしていた。
【な、何が起こったチャオ…?】
ハッピーは動揺する。
【まだまだ、甘いですね。また戦いましょうか。】
チャキナはそう吐き捨てると静かに去って行った。
【く・・・っそぉぉ――!!!!!!!】
ハッピーは悔し涙を流し続けた。
今度は、絶対こんな涙を流さないように、いつまでも泣いた。
*一位・チャキナ二位・ハッピー*
【あーもう、邪魔チャオです!どくチャオですっ】
【あーくそ、邪魔なんだよ!とっととどくチャオっ】
こりずに喧嘩。
そうこうしながらもゴール地点にたどり着いた。
ここでラストスパートを出さなきゃ負ける…!!!
マリーとチャキが同時にラストスパートを繰り出した。
そしてゴールした。
【ハァ、ハァ、ハァ…結果…はどうチャオですか・・??】
【ゼェ、ゼェ、ゼェ…結果…はどうなったチャオ・・??】
…両方とも一位…。
2人が石化した…(笑)。
*一位・マリー・チャキ*
こうして、あっこの無理やりレースは幕を閉じたのであった。
『・・・私…忘れられてるよ…?』
あっこは一人呟いた…。
第1章-fin-