~チャオとあっこのノンフィクション~(第1章)*4話*
『さっ、頑張ってね~!』
あっこはそう叫ぶと手を振りながら表彰台へと向かった。
(ハッ)
チャオ達はあっこの声で正気に戻った。
【こ・・・ここは・・・どこチャオ?】
ラッキーがあたりを見まわす。
【…ここ、もしかしてレース場チャオ…か…?】
思わず顔が引いてしまった。
【・・・おい!お前!】
隣の第2コースにいるダークチャオが言った。
最初はダークの子供達と戦うのだが、このチャオだけは
シャドウチャオのなりかけだ。ポヨは炎になっていて、
なめらかな曲線の赤黒い毛が耳のあたりまで伸びている。
【な・・・なんチャオ?】
戸惑いながらラッキーは答えた。
【周り、見てみろよ…】
そのシャドウチャオは薄笑いを浮かべながらラッキーに言った。
【面白いレースになりそうだ…。ダークばかりじゃつまらないんだよ】
【周り…?】
ラッキーは言われるがままに全コースを見まわした。
その時ラッキーはハッ、となった。
なぜなら…。周りは全員ダークチャオだったのであるからだった…!
【クックック…】
シャドウチャオからとてつもない殺気が出ていた…。
そんな事をラッキーは夢にも思わず、ただ立ちすくんでいるだけだった
――――一方チャレンジレースのスタート地点は…。
【ここはどこチャオっスか!!アニキぃ~~~!!!!】
ハッピーは完全にパニック状態に落ちいっている。
ハッピーは1度パニックになると何をするかわからない。
【えぇ~い、ここを抜け出してやるチャオっス!!!!!!!!】
そういうと入り口を通りこして逆そうしようとした。
【やめとけ、ダンディ】
隣から声聞こえた。
【お前、誰チャオっスか?!オイラを止めても無駄チャオっスよ!!!!】
ハッピーは力ずくでも抜け出そうとした。
【やめとけと言っているだろう…。出口は知ってるのかい?ダンディ】
そういうとハッピーの腕を掴み、暴走を何とか止めようとした。
そのチャオはニュートラルチャオのヒコウタイプ。顔は毛糸のマスク
をかぶっているから確かめようとしてもわからなかった。
【うぅ…】
ハッピーは唇を噛み締め、歯ぎしりをすることしか出来なかった。
もう、レースをするしかない、と考え諦めたからだった。
【わかっただろ、ダンディ。いいレースが出来そうだよ。お互い、
頑張ろう。】
そう言うとそのチャオは握手の手を差し出した。
だがハッピーは悔しくてすることが出来なかった。
それは[プレッシャー]という恐怖心に耐えきれなかったからだった…。
――――そしてそしてヒーローレーススタート地点
【…とうとう天罰が当たったチャオか…ハァ】
チャキは絶望的になっていた。
【チッ…こんなイイコちゃん達と一緒にいるだけでも吐き気がしてくる
チャオ…、おぞましいチャオ…。】
周りはヒーロー、ヒーロー、ヒーロー。
【いたずらしたから…カミサマの天罰が当たったチャオ~…ハァ…】
チャキは正気に戻ったのはいいがまた新たな絶望に追われていた。
【アナタ…大丈夫?顔色悪いチャオです…】
チカラタイプのヒーローチャオが話しかけてきた。
【(うげぇっ、なんだコイツ、イイコぶってやがるよ)】
チャキは本当にこういうのが嫌いだった。
チャキにとってラッキーは幼なじみだからなれているし、
言葉使いもそうイイコぶってない言い方だから平気だ。
【別に。テメーが話しかけるともっと気分悪くなるチャオよ!
近寄るなよな、イイコぶりっこでやってるくせにチャオ】
チャキはそう話しかけてきたヒーローに言い返した。
【…イイコぶってるとは何チャオですか!?こっちは親切で
言ってるチャオです~!!!!】
イキナリ強気になってきたからチャキはびっくりした。
【うっせぇ、チビっこいし弱いくせにチャオ!】
動揺しつつも言い返す。
【なんチャオですか!!そう言って弱いのはアナタじゃない
チャオですか!?】
さらに言い返す。
その口ゲンカはいつまで続くかわからなかいほどだった。
その時。
全てのレースのスタート地点全体にオモチャオの声が聞こえた。
【そろそろ始めるチャオ。位置につくチャオ。】
全員が静まり、全員の気迫が強まった。
【よ~い…】
・・・・・・・・・。
【ドン!!!!】
そして、レースは始まった。
続く*