最終話 再び、白。
ここは・・・どこだよ?まあだ、なんかあんのか?
いてっ・・・なんだあ?
んあ・・・?ええっと・・・右手は・・・あるけど動かしにくいな。左手も足も・・・つーか・・・
「なんだよこの身体あ!?」
ぷしゅーっと音を立てて、目の前にあった「壁」は開いた。動きにくい手足を一所懸命に動かして、立ち上がる。
黒い髪。白い長袖の服に、白い長ズボン。赤いリストバンドに、ベルト。
・・・まるっきり“人間”だ。
「はあ・・・何だか変なとこに来ちまったなあ・・・」
「よう。ホワイト・・・だよな?」
突然背後から声がしたので、慌てて振り向いた。
見ると、赤みがかかった髪に、緑色の服装。こいつは・・・口調から察するに、サン?
ホワイト「となると・・・後ろにいるのはやっぱり・・・」
とんでもない髪の毛の色をしているなあ。と思いつつも、紫色の髪というのも綺麗じゃないか。
クールに見える外見。赤いシャツの上に、黒い服。喪服にも見える。ムーン・・・だろうな。
サン「で・・・ここはどこスか?」
「天成の星、Gaila。の、第三“chao”研究室さ。」
こちらも赤みのかかった髪の毛で、服装はサンと似ている。・・・兄弟?向こうではそんな設定あったっけ?
そもそも関わりもなかったような気がするけど・・・こいつはヴァルサだな。
ムーン「何故知っているんだ?」
ヴァルサ「科学司令官様から聞いたんだよ。ほら、お出ましだぜ。」
出てきたのは白髪の、少し老けている人間。白い医服姿が似合っている。
「よくぞ戻ってきてくれた。俺は・・・」
ホワイト「ああ、言わなくても分かるぜ。で・・・さ。早く連れてってくれよ。」
「そうだな・・・行こうか。森へ。」
斜陽が木々の隙間から覗いている。空気の綺麗な森林・・・周りには沢山の泉。
その中に、水色の生き物がいた。
ホワイト「随分とちっちゃいんだなあ。」
「チャオ!」
その生き物は司令官に呼びかけ、司令官はなでて返事を返す。
「どうだ?こいつらと“人間”・・・無理っぽそうだけど・・・」
ムーン「共存・・・だな。この生命を経験した僕たちだからこそ、出来る・・・だろう?」
サン「任せとけ。でも、一つだけ条件がある。」
「・・・ああ、のもう。何だ?」
――――4years ago――――4年後
「久し振りだな。元気だったか?」
ホワイト「その台詞、向こうだったら結構聞いたぜ。」
あれから四年。こちらの世界には未だ溶け込めない様子のホワイトが、研究室へやって来た。
先客は・・・「いつもの」面々だ。
ムーン「ん・・・こっちの世界もなかなかのものだな。」
ヴァルサ「それより、早く行こう。」
サン「待ちくたびれたぜ。」
「・・・そうだな。では・・・行こうか。『故郷』へ・・・『Charuryn』星へ・・・」
そして物語は・・・結末へと、導かれる。
やっぱこの身体じゃないとな。
こちらの世界もあれから四年。世界では復旧作業が終わり、チャオ達の活性も上がってきている。
どうやら座軸がずれたらしく、ヴァルサたちは一緒じゃない。
だが・・・紛れも無く、この姿はなじみのある、チャオだ。
白い体に、赤い模様のヒーロー・ハシリ・ハシリ。・・・ホワイト=ザ=ラシアロスト。
ホワイト「ふぅ・・・まさかもう一回、こっちに来れるとはねえ。」
雪が降り続いている。あれから一度もやんでいないのだろうか?
おそらく此処は、最期の決戦の場所。つまり・・・近くに飛光武帝がある筈だ。
雪の積もった平野・・・一面雪景色の地を踏みしめ、歩いていく。
懐かしい感触・・・