最終話 再び、白。
カイス「姫様・・・また脱け出したらしい。」
もぬけの殻となった、城の、ラリマ姫の部屋。「おてんば姫様」の名は伊達じゃない。
ゾルグ「いいさ。腹が減ったら帰ってくるだろう。」
カイス「またそれか・・・いい加減聞き飽きたな。」
ゾルグ「それよりも、宴の準備は出来ているのか?皆、そろそろ来るぞ。」
王座の間へと歩いていると、新しくなったガーランド大国の城も、もうぼろくなってきたのかとしみじみに思う。
扉・・・前よりも大きくなった扉を開けると、既にヒーズ(といってもヒーズはこの城に住んでいるので分けないが。)と、セザン、そしてラステがいた。
ラステ「おう!久し振り!」
セザン「御久し振りです、王。」
ゾルグ「久しいな・・・それより、国家総統就任だって?凄いじゃないか。」
おそらくラステに向かって言っているものと見える。・・・国家総統就任。スゴイどころではない。
次次と、なじみの顔が見えてくる。次に入ってきたのはアヴェンと、イレンだ。
アヴェン「や。」
ヒーズ「久し振りの戦友に、挨拶がそれか。」
イレン「まあまあ・・・どうやら、まだ余り集まっていないようですね。」
早口にそういうと、次に入ってきた連中に驚いたのは、ほかでもない全員だ。
カイス「兄上?!」
ヴァルサ「おす。」
ヒーズ「久し振りの妹に挨拶が二文字・・・ろくでもない奴らばかりだな。」
ムーン「宴と聞いたのでな。不法侵入させてもらった。」
犯人はこいつか。最も、警備が厳重なところではともかく、世界は平和になったので、警備は手薄だ。
ラキナ「おお。皆そろっておるようじゃの。」
続いて入ってきたのは、ホワイトの母、ラキナ。ラリマ姫の名付け親でもある。
カイス「後はブレストだけだな。よし。姫様を呼んでくる。」
ゾルグ「出来るだけ早く頼むぞ。・・で、ムーン。聞かせてもらおうか。」
ムーン「・・・なじみにくい世界だったな。」
サン「食べ物のまずい世界だった。」
ヴァルサ「武器が一つも置いていない物騒な世界だった。」
・・・・・・ろくでもない返答が返ってこない。
カイス「全く・・・姫様は何処におられるのだ・・・」
城下町を歩いていると、よそ見していた所為か、他のチャオにぶつかってしまった。
カイス「す、すまん!・・・?・・・お、お前・・・」
ホワイト「姫様がどうしたって?まあた居なくなったのか?」
カイス「ほ・・ホワイト・・・」
ホワイト「へっ・・・約束は守ったろ?姫様なら居るぜ。後ろに。」
喜びに飛び跳ねているラリマ姫の姿が、ホワイトの後ろには見えた。
ラリマ「やほ。じゃ、いこ。」
ホワイト「だな・・・腹減ったあ・・・向こうの食べもんまずいんだもんなあ。」
カイス「・・・よく帰ってきたな・・・ホワイト。」
鼓動が聞こえる・・・これは、闇?・・・いや違う。
「久し振りのお目覚めじゃないか。親友。」
暗闇の中で、赤い服は目立っていた。
「少々手間取ってね。どうだ?居心地は?」
「ここで“闇”の管理をするってのも、悪くはないな。」
All of the end―全ては結末へ。焉へと・・・・・・
~Fin~