第六十九話 ”プログラミング”
ヴァルハス「馬鹿な・・・!私の計画が間違っていた・・・!?そんな筈は無い!何なんだ!?プログラミングの中では、そんな“力”は存在しなかった筈・・・!」
ホワイト「頭だけじゃ、考えられねーってことだよ!」
黒い闇の空間にときめく、一点の光―白い体に、赤い模様のヒーロー。その左手には自らの信念が。
―その右手には大勢の願いが。
ホワイト「うらぁあああ!」
白い光・・・いや、闇の中を照らす、この光は・・・黄金だ。
暗闇を掻き分け、その太刀筋には、晴天が見えた。黒い光・・・闇が入る隙間に、第二撃を与え、空間は裂いていく。
ヴァルハス「・・・ならば・・・貴様諸共、私諸共、この世界諸共、全て消し去ってやろう!!」
“白き少年”
ホワイト「やれるもんなら、やってみやがれ!」
“己が信念を疑わず”
続いてホワイトの左手から、黄金の刃が放たれる。闇は既に虫食い状態だ。
ヴァルハス「どこに・・・どこにそんな力が・・・そんな小さな体の何処に!?」
“貫き通した”
ホワイト「へ・・・俺の中に、力はほとんどねーよ!」
“私の罪を、闇ごと消し去ってくれた”
ヴァルハス「私が・・・間違っていた・・・そんな筈は・・・」
“その、せめてもの礼だ。受け取ってくれ・・・私の”
生命の―力を―
安置されているヴァルハスと共に、巨大な怪物は晴天の空へと飛んでいく。それを見届け、ホワイトは最期の一撃に集中した。
最期の―言葉と共に、ホワイトは黄金の刃を、天空に向ける。
その一点に、星中から生命の力・・・“救う力”が集まってくるようだ・・・
ホワイト「覚悟しろ!ヴァルハス!!」
遺念を捨てて、飛び上がるホワイト。ヴァルハス―巨大な黒き怪物に向けて。
“今こそが・・・私の焉”
ホワイト「だぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」
黄金の光は、白い光に変わってゆく。それが、黒い光を貫いて、巨大な怪物と共に拡散し、飛び散った。
ヴァルハス「ふ・・・どうやら・・・私の敗北・・・か。」
ホワイト「親父!」
自分の体から何かが抜けていく。・・・それは、白い光。
パルス「こんな奴でも、親友なんでな。悪ぃ・・・色々と話せなくてよ。」
ホワイト「親父・・・」
パルス「お前は、全ての真実を見なきゃならない。元の世界に戻ったら―“あいつ”に宜しく伝えておいてくれ。」
そういい残すと、ヴァルハスと共に、黒い闇の中へと消えていった。晴天の空は白雲に覆われ、白い綺麗な雪が、降り注いでいる。
ムーン「カイス。イレンによろしく伝えておいてくれ。」
カイス「・・・行くのか。」
半分消えかかった身体。ムーンとサンは、目を瞑って、未練を残さないようにしているのだろう。
サン「じゃな・・・楽しかったぜ。」
誰に話しかけているのかは分からない。だが、自分の宿命を、なんとなく知っている・・・そんな気がする。
カイス「・・・雪・・・だな・・・」
ゾルグ「ふう・・・一件落着、か。」
デスベルグ「処で、アヴェンとブレストは?」
ヒーズ「甲板で戦闘中だ。」
ため息混じりに、ヒーズは言った。
ヴァルサ「俺も行かなくちゃならないらしい・・・」
既に右手と、左足が消えかかっている。ヴァルサがそういうと、悲しみを隠すためか、ゾルグが背を向けて、言った。
ゾルグ「・・・また会おう。」
ラリマ「・・・ホワイト・・・」
白い光が輝く、空。見続けながら、ラリマ姫は呟いた。又あの、自信に満ちた声を聞くために。
ラリマ「・・・また、会える・・・よね・・・」
続く