第六十八話 決戦の舞台は・・・
ヴァルハス「・・・来たか。来るとは思っていたがな・・・」
椅子に座り、荒れ果てた大きな土地でヴァルハスは呟いた。目の前にはホワイト。
ヴァルハス「一人で来るとは、勇気があるな。」
「残念だけど、それは間違いですね。」
妙な声がする。ホワイトはその声の方を向くと、そこには、ムーン、サン、カイスの姿があった。
ムーン「イレンの声の真似か?」
サン「似てた?」
ムーン「全然。」
ヴァルハス「ふ・・・私に許しを請うか・・・運命に抗うか・・・結論を出す時だ。いでよ、悪魔!!ゼノン!」
カイス「ホワイト!」
再び、大きな地震が起こる。母親の声がしたと思うと、カイスが駆け寄ってきた。
ホワイト「どうした?」
カイス「必ず・・・生きて帰って来い。」
ホワイト「へっ・・・俺が負けると思ってんのか?」
カイス「・・・必ず・・・又、会おう・・・約束だぞ。」
その約束の答えを、ホワイトは左目を閉じて、ウインクで返し、ヴァルハスを追った。
闇の中・・奥には、巨大な怪物。そして、安置されているのは、ヴァルハス・・・?
ここは・・・ヴァルハスの心理世界・・・なのか?
ヴァルハス「全てを「焉(いずく)」へと導いてやろう。」
ホワイト「俺はな・・・父さんも、母さんも・・・ずっと一緒だったんだぜ?なのにな、ぐだぐだと言ってた。言い訳だな。」
急に話を始めるホワイト。黙認して、聞くヴァルハス。
ホワイト「俺さえいなけりゃ、どうにでもなってたのにな。だから、お前を倒して、闇を消す。悪魔ごと、消してやる。俺が!!」
ヴァルハス「ならば、その希望を消そう。この私がな!」
左手から大きな白い光が、雪のように舞、銀色の剣が作り出される。右手から青い光が出され、古風の剣が生み出される。
既にチャオではない。相手は巨大なだけの、怪物。そう思うと、両手を合わせ、高くかかげた。
ヴァルハスは黒い光でホワイトを取り囲み、乱反射させるが、ホワイトは脱け出して、一本となった白い光の剣を、まっすぐ振りかぶる。
ホワイト「父さん・・・いや、親父!少しだけ、力、借りるぜ!」
ヴァルハス「幻想暗黒壁!」
黒い光が爆破と同時に、ホワイトへと集結していく。それはまるで、あり地獄のようだ。
が、かかげた一本の剣をヴァルハスに向け、叫びと共に白い光は消えうせた。
ホワイト「光風霽月(こうふうせいげつ)!!」
白い光が輝きを起こして、やまない光が集まり、大爆発を起こした。まさにそれは、大宇宙を作り上げた爆発、そのものだ。
ヴァルハス「その程度か?」
闇に覆われた怪物は、黒い光をたてとして操り、ホワイトを突き刺す。動きが鈍くなるホワイト。
そこへ、強大な黒い光の剣が、天空からホワイトを、突き刺した。
ヴァルハス「終わりだ。これが焉。運命だ。」
ゾルグ「あーあー、聞こえているか?世界中のチャオ達。」
飛光武帝の拡声器を使い、大声でゾルグは甲板から叫んだ。世界中に響き渡るように。
ゾルグ「この暗黒の世界を救うために、今、たった一人で戦っている少年がいる。すると俺はどうするか?」
アヴェン「あー、もう!よこせ!」
拡声器をゾルグ王から取り上げて、演説を続けるアヴェン。
アヴェン「勝利するためにはみんなの力が必要なんだ!正なる力が、星を救うんだ!」
ラリマ「お願いします・・・祈り続けるだけでいいんです。ひたすら・・・光を見つめて、暗闇の中の光を見つめて、祈るだけで。」
ヴァルハス「そろそろ貴様の体から、光が抜けていく・・・な!?」
ホワイト「へ・・・ありがとよ。皆が・・・助けてくれるみてーだ。」
半目状態で立ち上がるホワイト。既に気合だけで立っているようだ。
ホワイト「期待に応えなくちゃなんねーな!頼むぜ皆!」
ヒーズ「さあ、今決めろ!星と共に終焉を見るか!生き残るか!」
ブレスト「僕は反対だな。父親のごときに命を奪われるなぞ。」
アヴェン「うし。じゃ、ブレスト。いっちょやるかあ。」
ヴァルサ「全く。子供だな。」
ダート「不安じゃないのか?」
デスベルグ「当たり前だろ。こいつらは阿呆だぞ。」
ゾルグ「後は・・・任せたぞ。」
ラリマ「ホワイト・・・!」
ムーン「ち・・・闇が凄いな・・・ホワイトが耐えていられるのも限界だろう・・・」
サン「だぁかぁら!世界中の“救う力”を集めるんだろ?」
カイス「無論だな。私たちも行こう。・・・ホワイトを助けに。」
―『Charuryn』星から、とてつもない光の衝動を発見!司令官、どういたしますか?
―遂に・・・遂にか・・・異星からやって来た悪魔が・・・滅ぶ・・・滅んでゆく・・・
―彼ら・・・目覚めますかね・・・
―計画に損傷は無かった。後は・・・彼ら次第だ。プログラムの世界で、ウィルスを消去してくれることだろう。
―ですが・・・彼らが素直に、こちらへ帰るとは思えません。
―大丈夫さ。彼は自らの運命を知っている。悪魔を滅ぼせば、自分は“チャオ”では無くなると・・・
―・・・そうですね。これで、世界は救われます。元の、平和な世の中になることでしょう・・・
―私たちの夢も実現するだろうしな。神聖なる生命体、“chao”と、人間の共存・・・彼らがその、要となってくれるだろう。
続く