第六十七話 両親の面影
不死鳥の山は崩れ落ち、残骸だけが残っている。その中に、呆然と立ち尽くす少年。
ホワイト「ウソだろ・・・なあ・・・母さん・・・が、ラキナ・・・かよ・・・」
ラリマ「ホワイト・・・ラキナさんを追おう。」
ホワイト「無理だ・・・俺には出来ない・・・行ったのは未知の空間なんだろ?行けるわけねーだろ?俺は・・・弱いんだ。」
改めて無力さに浸るホワイト。その姿たるや、いつものホワイトとはまるで別人だった。
そんなところへ、飛行船に乗り、一匹の兵士が降りてきて、ラリマ姫を抱える。
ラリマ「離して!」
「姫様、無礼を失礼します!王がお呼びなのです!」
ラリマ「・・・お父様が・・・生きてるの?」
ホワイト「・・・連れてってくれ。頼む・・・本当のことを聞きたいんだ・・・父さんのとこに・・・パルスのところに!!」
飛行船に乗り込んだホワイトらは、状況を説明する間も無く、ぼろぼろのゾルグ王に訴えた。
ゾルグ「・・・そういうと思った。状況は理解してる。無線で、ムーンから聞いた。準備は大丈夫か?」
ホワイト「・・・ああ。父さんは・・・どこだ?」
『・・・よお。』
ぱあっと光りだす、ホワイトの手、足、体・・・そして声。
光は形となって、ホワイトの目の前に象っていく。ホワイトの意識とは反して。
やがて白い光は、チャオの形となり、真っ白なHRRのチャオが現れた。
ホワイト「お前は・・・俺の中にいた・・・」
ラリマ「ホワイトのお父さん?」
パルス「ああ。パルスだ。悪ぃな、色々と。待たせちまったりしてよ。」
目を瞑って、柄にも無く、考え込むホワイト。否・・・考えているというのとは、少し違う。
頭の中をぐるぐると巡る。何かが変わる。真実をヴァルハスの話と繋げて、又繋げる。
パルス「俺は・・・俺にもゼノンが入ってるんだ。アナザー・カオス達は、ゼノンによって生かされてるんだ。だから、よ。な?」
ホワイト「分かってる。あんたが俺の父さん。ただ・・・一つだけ教えてくれ。」
目を開けて、何かを覚悟しているホワイト。何か・・・恐ろしいことを、耐えて、覚悟している。
だが、その目を開けると、それが“始まる”ことにも、分かってる。認めるのが辛いだけ。
そして・・・ホワイトは只一言、言った。
ホワイト「今日の飯、何だ?」
パルス「あっはっは!さっすが俺の息子だな!分かってるじゃねーか!・・・じゃ、行くか。」
「僕たちも連れてってもらうが、いいだろう?」
その声は、後ろからしてくる。懐かしい声だ。ぞろぞろとやってくる。
アヴェン「久し振り!元気だったな!」
ホワイト「・・・ああ。」
ブレスト「元気でなくては困る。なあ、ヒーズ。」
ヒーズ「最終決戦の地へ出向くというのに、な。さて、進路は未知の空間。闇の本拠地。」
全員が、ホワイトに目線を送る。ラリマ姫はにっこりと不安げに笑いかける。
ホワイト「行こう・・・闇を・・・消すんだ。二度と、復活しないように。全部俺が・・・消してやる。」
『侵入者!侵入者発見!速やかに非難せよ!』
ヒーズ「僕らが食い止める。ホワイト・・・お前は甲板に急げ!」
「星が・・・喜びを挙げているな・・・」
綺麗な場所・・・どこか、こんな場所があるような気がしないでもない、そんな場所。
一匹のチャオが、水に手を差し伸べる。
「最終決戦の地・・・私も行かないと駄目か?」
ホワイト「霧が・・・すごいな。」
パルス「大丈夫か?」
甲板の上で、未知の空間上空を見渡すホワイト、そしてパルス。
ホワイト「当たり前ぇーだろ。さあ・・・行くぜ・・・全部、終わりにしてやる!」
続く