第六十三話 作戦・・・会議?
イレン「弱いくせに出しゃばっちゃ駄目じゃないですか!」
ムーン「い、いや、サンがピンチだったものだから・・・」
ここはソルブーク列島、首都。ラキナが党首の、とても広い寺だ。
飛光武帝という、空飛ぶ船に乗り、列島まで移ったはいいものの、デライツにやられた仲間たちの消息は掴めていない。
加えて、「朗々四天」がなんなのかも、分かっておらず、収穫はゼロ。
サン「ムーン。そういう時は「つい、血が騒いだもんでね」って言うのが一番だ。」
ムーン「ほう。今度はもう少し早く、しかもイレンに聞こえないように助言してくれると助かるな。」
ラリマ「あはははは!」
やり取り(最も、やり取りではなく、漫才のようだが)を見ていたラリマ姫が、突如笑い出した。
カイス「姫様・・・はしたないですよ。」
ラリマ「だって・・・ムーンお兄さん、イレンお姉ちゃんの下っ端みたいなんですもの。」
イレン「夫ですよ、夫。私が妻です。」
ムーン「いつから僕が夫になった?さり気無く自分を妻と呼ぶな。」
再び笑い出すラリマ姫。そんなに面白いのだろうか・・・・・・と、カイスはあきれ返った。
そんな中、ラリマ姫の名付け親である、ソルブーク列島の女王でもある、ラキナが、ホワイトの角を引っ張って来た。
ラキナ「おお。待たせたな。」
ホワイト「痛てててて!離せよババア!」
振袖を捲り、ホワイトを壁に投げ飛ばすラキナ。余程イラついたらしい。
ラキナ「デライツの奴が使った「氷の中へ消える術」・・・おそらく、闇次元移動術じゃろう。」
ムーン「闇次元移動術・・・か。懐かしいな。どこか別の場所へ消えてしまう、という奴だろう?」
ラキナ「その通りなのじゃが・・・戦力不足じゃな。」
ホワイト「なんで!?」
立ち直ったホワイトがツッコミを入れる。俺がいるじゃないか、とアピールも忘れない。
ラキナ「朗々四天―デライツに勝てたのは何故だか分かるか?」
ホワイト「俺が強ぇ―」
ラキナ「デライツ・・・奴が「力を解放」する前に、不意打ちで倒したからじゃ。「力の解放」・・・名を、「イービル・ルーイン」。」
その言葉を聴くと、全員が全員、全く知らないというわけでは無さそうだ。
先程、デライツが使おうとした術でもある。ムーンがそういうようなことを言っていたので、ホワイトは知っている。
サン「どうでもいいけどよぉ・・・俺とかムーンとかは駄目だろ?力、封じられちまってるし―」
イレン「!ホワイトさん、伏せて下さい!」
ホワイト「わかってらぁ!」
処が当の本人、伏せるも何も、左手から青い光を生み出して、剣を作り出した。
空中に飛び上がり、一回転すると、体を捻らせて、古風の剣を横に構え、振り切った。
響く金属音。そして、銃声・・・?
ホワイト「っぶねー・・・なんだよそれ、反則じゃねーのか?」
「俺ら朗々四天は何でもあり、だ。」
何が驚いたか。まず、その光儀刀らしきものに驚いた。剣の形はしているが、黒く、しかも銃のような形だ。
次に驚いたのが、・・・いや、これが一番驚いたといってもおかしくはない。
黒い模様がところどころに、刺青のように入っている、白いからだのヒーロー・ハシリ・ハシリ。
カイス「ホワイト・・・に・・・似ている・・・」
ホワイト「ぅ・・・ああっ・・・ぐああああ!!」
何もされていない筈・・・なのに、頭が突然痛み出した。途轍もない痛みに頭を抱え、屈むホワイト。
ムーン「下がっていろ!僕が相手をしてやる。」
「ムーン=ザ=ライバース・・・三代目、か。へっ・・・上等ォ!」
イレン「ムーンさん!」
そのチャオの黒い模様が、突然赤く不気味に、光りだした。冷静な眼でそれを見ると、ムーンはしゃがむ。
頭上を黒い光が突き抜けた。その黒い光は―どうやら光儀刀から放たれたようだ。
ラキナ「おーっと!後ろががら空きじゃのぉ!」
ホワイト「止めろ!」
剣を杖代わりに、立ち上がるホワイト。にやりと微笑するホワイトによく似たチャオは、光儀刀を柄に突き刺す。
ホワイト「これは・・・俺がやんなくちゃなんねぇ・・・何でかは後で言う!皆はどっか行ってろ!」
ムーン「止むを得ない・・な・・行くぞ!」
ラリマ「ホワイト!」
ホワイト「心配いらねーさ。俺が負けるとでも思ってんのか?」
続く