第四十四話 錬門(1)
ウォリア「貴殿が龍騎士―ラシアロストの孫とは・・・全く、哀れなものよ。」
冷たい目。冷たい声色。そして、身も凍るほどの威圧感を持ち合わせ、ホワイトとラリマ姫はウォリアと対峙した。
ホワイト「龍・・・騎士?ラシアロストの孫?何―」
ウォリア「姫、貴殿ならば・・・理解できておろうな?」
その通りで、ラリマ姫は言っていることが理解できているようだ。目は見開いており、驚きを隠すこともなく、立っている。
それは、恐らく言っていることがとても恐ろしいのか、ウォリアの冷たい目、声が怖いのか、どちらかであろう。
しかし、言っている意味―龍騎士、ラシアロストという意味が、分かっているのは確かだ。
ホワイト「ラリマ・・・?どうしたんだよ、おい。」
ラリマ「ラシアロストの・・・ホ、ホワイト・・・逃げましょう・・・」
脱力し、ラリマはホワイトを急かした。だが、逃げるつもりがさらさらないホワイトにとって、それに従うことは出来ないものだ。
ウォリア「逃がさん。」
勿論、ウォリアといえど、逃がすつもりはない。黒い光で道を塞ぎ、ラリマ姫を十字架にかけた。
ホワイト「ラリマッ!てめぇ!離しやがれ!」
ウォリア「いいだろう。貴殿が私に勝てたらな・・・」
黒い光の中でも、笑うのが見えた。姿も見えない。力も分からない。ただ、ホワイトには・・・
直感で、戦ってはいけない、という圧力を感じ取った。
ウォリア「鈍い」
ホワイト「くそっ」
黒い光が放たれ、ホワイトはなんとか右に飛んで避けた。だが、回り込まれ、黒い光をまともに受けてしまった。
吹き飛びながらも、左手に青い光を宿し、身をかわして着地する。すると、青い光を放とうと、振りかぶった。
ホワイト「ブルーライト―エネル―
ウォリア「花の如く散れ―『斬魔剣』!」
黒い光は、巨大な剣と化し、振り下ろされた。その衝撃波により、切り刻まれる感覚を味わう、ホワイト。
素早くホワイトは、青い光を剣にすると、身を防いだ。次第に黒い光は弱まり、消えた。
ラリマ「ホワイト!」
ウォリア「弱い・・・弱いぞラシアロスト!本気を見せてみろ、伯龍!貴様の力を・・・見せてみるがいい!」
ホワイト「『月儀斬』!!」
青い光が体中から溢れ、それらが光儀刀に集結していく。覚醒・・・と、名の解放を、加えてしたのだ。
先ほどと大差ある速度で、剣を回転させ、飛び上がる。天井の近くまで来ると、ウォリアの方向に剣を向けた。
ウォリア「『斬魔剣』!」
ホワイト「正儀閨破!」
雹のように降り注ぐ青い光は、黒い光で構成される刀により、吹き飛ばされてしまう。
だが、その勢いで、黒い光の刀は消滅してしまった。・・・いや、姿を隠しただけかもしれない。
ウォリア「お前はこの「斬魔剣」が―一種の術だと思っているかもしれんが―これは私の光儀刀―決して消えん。」
ホワイト「んなっ!?」
その姿、その身を覆い尽くしていた黒い光が、ウォリアの右手に、集められた。
そのとき初めて、ホワイトはウォリアの姿を目にすることが出来た。
体は黒く、目は鋭く、つり目だ。容姿は、ヒーロー・ハシリ・ハシリ。ホワイトと・・・同じだ。
黒い光は光儀刀を作り出し、ホワイトと全く同じ形の剣が、作り出された。
ウォリア「『斬魔剣』―覚醒!」
右手を挙げて、剣を振り上げた。そこから黒い光が溢れ、強大な剣を象ると、衝撃波がホワイトに向かってきた。
なんとか青い光で受け止めたが、圧力が強く、押されてしまう。
ホワイト「駄目だ・・・勝てるわけ・・・何考えてんだ・・・俺は、勝つ!」
ウォリア「来たな・・・『開闢』が・・・素晴らしい・・・流石はラシアロストの孫だ・・・」
更に溢れ出した青い光。それらが光儀刀を中心に回りだし、ホワイトの上の、ポヨを青く輝かせた。
地面からも青い光が吹き出ているようで、くるくると、ホワイトを中心に渦を巻いている。
ホワイト「いくぜ―正儀閨破ぁぁぁ!」
ウォリア「臨界両断!」
青い光は分散して、雨、雹のように降り注ぐ。先ほどとは比べものにならない量と、勢いだ。
処が、呆気なく斬り飛ばされてしまう。ウォリアの、剣によって・・・
ホワイト「ブルーライト・エネルギー!」
天井を反動に、背後に移動したホワイトが、刀を光に戻し、左手から、青い光を放った。
それも、両断されてしまい、ホワイトは黒い光により、弾き飛ばされ、壁に激突する。
ウォリア「無念だな・・・使いこなせていない。私がその「門」を破る力・・・受け貰うとしようか・・・」
ホワイト「ざけ・・ん・・・」
『そろそろ教えてやろう。』
又・・・あの場所だ。懐かしい思いにさせる、あの場所。
目の前には壊れかけた大きな扉。中心部には三つの穴に、それぞれ赤、青、黄色の光が填っている。
そして、その扉を守る番人的存在、白い光。自分と同じ姿の、白い光だ。
ホワイト「今は・・・ここにいる場合じゃ・・・」
『聞け』
続く