第三十七話 共同戦線。
ホワイト「正儀閨破!!」
その撃った青い光の「雹」は、赤い光を悉く打ち崩し、ブレストを突き飛ばした―
―しかし―そこへ、黒い光が壁のように立ちふさがったのだ。
ラリマ「・・・ホワイト・・・?」
『貴殿がホワイトか?竜騎士、ラシアロストの力を持つものか?』
ホワイト「てめえ・・・誰だ?」
黒い体かどうかもさえ、分からない。只、その視線は確実にホワイトではなく、ラリマ姫に向いていた。
それに気づいたホワイトは、焦ってラリマ姫の方向を向き、走り出すが、黒い光の気配が動いたために、再び振り向いてしまう。
『五帝の長・・・とでも言っておこう。さあ・・・皚皚石と、紅蓮石を差し出せ。』
ホワイト「待て!そいつは組織の奴だろ!?なんでたすけてやらねえ!」
『・・・こやつは裏切り者だ。早くしろ。でなければ・・・』
そのとき、黒い光の中を、赤い光の一閃が貫いた。そこへ「溝」が出来たが、一瞬で埋まってしまった。
ブレスト「貴様・・・何故、組織の者に脅迫する?」
『ふ・・・貴殿よ。こやつらは組織に反抗するもの。脅迫して当然だ。』
ラリマ「お父様!?」
突然現れた父の姿に驚いて、ラリマ姫は腰を抜かしてしまった。ホワイトも後ろを振り向き、ゾルグらが来たことを確認した。
カイス「姫様っ!無事ですか!」
ゾルグ「・・・ウォリア・・・何の用だ?」
『ち・・・ゾルグか・・・厄介だな・・・一旦、退くぞ。』
黒い光は渦を巻いて、妙なチャオの姿を消していった。そして・・・狩猟大会は終わった。
賞賛式が行われることは無く、ホワイトにしては最悪の結末だ。
カイス「ホワイトォ!姫様を危険な目に遭わせるなと言っただろう!!」
ホワイト「だー、うるせえなあ。」
ゾルグ「よせ、カイス。そのパル・・・ホワイトには感謝している。ラリマの怪我もなかったことだ。」
王座の間には、先ほどのブレストも含め、全員が集まっていた。ラステに、セザン、ラリマ姫もいる。
ブレスト「それで、話というのはなんだ、国王。僕も参加していいのか?」
ゾルグ「信頼できるキミだからこそ、話そう。組織滅殺作戦の・・・開始だ。」
ホワイト「・・・なんだって?こいつが信頼できる?どこが!」
そう言ってみたものの、カイスから恐ろしい形相で睨みつけられたので、素早く口を塞いだ。
セザン「国王。まず、関係から話したほうがいいかと思います。」
ゾルグ「そうだな。パル・・・ホワイト。ここにいるのであやしい者は?」
ホワイト「こいつ!」
当たり前だ、とでもいうかのように、ブレストを指差した。当然だ。まさに二匹は犬猿の仲ともいえるのだから。
ゾルグ「彼はブレスト=ザ=ルド。我が修練を耐え抜いた精鋭のうちの一人だ。」
ホワイト「精鋭??」
ラステ「国王。こいつには口で話すより、体験してもらった方が早い。彼と一緒でね。」
にやりと企みげに苦笑いすると、ラステは国王に向かって、親しげに言った。
相変わらずにも、カイスはホワイトを睨みつけているし、姫は外を眺めては、ゾルグへと目線を変えた。
ゾルグ「そうだな・・・では、作戦の内容を説明する。セザン。」
セザン「まず、組織「五帝」の本拠地とされる、「空中要塞」に攻め込もうと思う。これは極秘で詮索した後、見つかったもので、組織も見つかったとは思っていない。」
カイス「不意打ちだとしても・・・五帝の力は格段違いだぞ。」
一度、組織に入ったことのあるチャオだから分かるのだろうか。と考えていると、ブレストも口を開いた。
ブレスト「五帝は・・・それぞれ称号が付いている。かつての「帝王」の闇を引き継ぐ者だ。格段違いといえど、一対一なら勝ち目はある。特に―」
再び目を瞑り、ホワイトとカイス、そして、ラリマ姫に視線を向けた。ラリマ姫はポヨが反射的に「?」マークへと変わった。
セザン「続けるぞ。今回は俺らでここを攻め込む。相手の戦力計測も含めて、だ。」
ラステ「それで、グループに分けて、広い空中要塞を一気に叩く。まず、セザンとカイス、そして俺。」
そういうと、カイスは小さく頷いた。
ラステ「そして、ホワイトとブレスト、お前らだ。」
続く