第三十六話 組織壊滅大作戦

ホワイト「正儀閨破!!」

その撃った青い光の「雹」は、赤い光を悉く打ち崩し、ブレストを突き飛ばした―

―しかし―そこへ、黒い光が壁のように立ちふさがったのだ。

ラリマ「・・・ホワイト・・・?」

『貴殿がホワイトか?竜騎士、ラシアロストの力を持つものか?』

ホワイト「てめえ・・・誰だ?」

黒い体かどうかもさえ、分からない。只、その視線は確実にホワイトではなく、ラリマ姫に向いていた。

それに気づいたホワイトは、焦ってラリマ姫の方向を向き、走り出すが、黒い光の気配が動いたために、再び振り向いてしまう。

『五帝の長・・・とでも言っておこう。さあ・・・皚皚石と、紅蓮石を差し出せ。』

ホワイト「待て!そいつは組織の奴だろ!?なんでたすけてやらねえ!」

『・・・こやつは裏切り者だ。早くしろ。でなければ・・・』

そのとき、黒い光の中を、赤い光の一閃が貫いた。そこへ「溝」が出来たが、一瞬で埋まってしまった。

ブレスト「貴様・・・何故、組織の者に脅迫する?」

『ふ・・・貴殿よ。こやつらは組織に反抗するもの。脅迫して当然だ。』

ラリマ「お父様!?」

突然現れた父の姿に驚いて、ラリマ姫は腰を抜かしてしまった。ホワイトも後ろを振り向き、ゾルグらが来たことを確認した。

カイス「姫様っ!無事ですか!」

ゾルグ「・・・ウォリア・・・何の用だ?」

『ち・・・ゾルグか・・・厄介だな・・・一旦、退くぞ。』

黒い光は渦を巻いて、妙なチャオの姿を消していった。そして・・・狩猟大会は終わった。

賞賛式が行われることは無く、ホワイトにしては最悪の結末だ。

カイス「ホワイトォ!姫様を危険な目に遭わせるなと言っただろう!!」

ホワイト「だー、うるせえなあ。」

ゾルグ「よせ、カイス。そのパル・・・ホワイトには感謝している。ラリマの怪我もなかったことだ。」

王座の間には、先ほどのブレストも含め、全員が集まっていた。ラステに、セザン、ラリマ姫もいる。

ブレスト「それで、話というのはなんだ、国王。僕も参加していいのか?」

ゾルグ「信頼できるキミだからこそ、話そう。組織滅殺作戦の・・・開始だ。」

ホワイト「・・・なんだって?こいつが信頼できる?どこが!」

そう言ってみたものの、カイスから恐ろしい形相で睨みつけられたので、素早く口を塞いだ。

セザン「国王。まず、関係から話したほうがいいかと思います。」

ゾルグ「そうだな。パル・・・ホワイト。ここにいるのであやしい者は?」

ホワイト「こいつ!」

当たり前だ、とでもいうかのように、ブレストを指差した。当然だ。まさに二匹は犬猿の仲ともいえるのだから。

ゾルグ「彼はブレスト=ザ=ルド。我が修練を耐え抜いた精鋭のうちの一人だ。」

ホワイト「精鋭??」

ラステ「国王。こいつには口で話すより、体験してもらった方が早い。彼と一緒でね。」

にやりと企みげに苦笑いすると、ラステは国王に向かって、親しげに言った。

相変わらずにも、カイスはホワイトを睨みつけているし、姫は外を眺めては、ゾルグへと目線を変えた。

ゾルグ「そうだな・・・では、作戦の内容を説明する。セザン。」

セザン「まず、組織「五帝」の本拠地とされる、「空中要塞」に攻め込もうと思う。これは極秘で詮索した後、見つかったもので、組織も見つかったとは思っていない。」

カイス「不意打ちだとしても・・・五帝の力は格段違いだぞ。」

一度、組織に入ったことのあるチャオだから分かるのだろうか。と考えていると、ブレストも口を開いた。

ブレスト「五帝は・・・それぞれ称号が付いている。かつての「帝王」の闇を引き継ぐ者だ。格段違いといえど、一対一なら勝ち目はある。特に―」

再び目を瞑り、ホワイトとカイス、そして、ラリマ姫に視線を向けた。ラリマ姫はポヨが反射的に「?」マークへと変わった。

セザン「続けるぞ。今回は俺らでここを攻め込む。相手の戦力計測も含めて、だ。」

ラステ「それで、グループに分けて、広い空中要塞を一気に叩く。まず、セザンとカイス、そして俺。」

そういうと、カイスは小さく頷いた。

ラステ「そして、ホワイトとブレスト、お前らだ。」

続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第197号
ページ番号
39 / 74
この作品について
タイトル
WHITE LEGEND
作者
ろっど(ロッド,DoorAurar)
初回掲載
週刊チャオ第179号
最終掲載
週刊チャオ第217号
連載期間
約8ヵ月24日