第三十四話 正反対の青光と赤光
ホワイト「なっ―光―」
ブレスト「レッドライト・エネルギーだ。覚えておけ・・・組織の者よ。地獄で敗因を探るんだな。」
まるで最後の決め台詞を残すかのように、ブレストはホワイトに背を向けて去ろうとした。が―
その顔の、数ミリと離れていない位置に、青い光が突き抜けた。驚いたブレストは慌てて振り向くが、今度は青い光を真に受けてしまう。
ホワイト「ブルーライト・エネルギーだっ。覚えておけよ!てめーこそ!」
ブレスト「猿真似か・・・其風情で僕に勝てると思うか?」
ホワイト「さーな?」
青い光を右手から出る赤い光により、相殺させた。そこには何も残らなかったので、ブレストはホワイトの居場所を探った。
ホワイト「やっぱり、お前に勝てると思うや。」
ブレスト「何っ!?」
背後から剣を突きつけられて、叫ぶブレスト。明らかに動揺している。
素早く相手の、ホワイトの攻撃主砲範囲から遠ざかろうとして、身を退こうとするが、ホワイトが一撃、切りつけた。
そこには青い光の斬撃が残り、避けたブレストの背後に移動し、もう一度斬り付けた。
ホワイト「隔月斬ッ!」
ブレスト「甘い!」
反射的に振り向いて、右手から出す赤い光を一瞬で剣と化させ、一太刀交わした。
その光儀刀・・・柄は青色で、鍔は銀色。刃は金色だ。
ラリマ「・・・正反対・・・?」
ホワイト「だぁぁ!」
鋭く弾き、飛び上がったホワイトは、空中で一回転して、着地した。剣を高く上げると、ブレストがいないことに、気がつき、再び飛び上がる。
ブレスト「鈍い・・・僕は貴様の上だ!」
ホワイト「わかってらい!」
飛び上がったホワイトは、敏速に体勢を入れ替えて、ブレストともう一太刀、交えた後、互いに弾けとんだ。
地面を削るように着地し、殆ど・・・いや、全く同時に、剣を構え、走り出した。
ブレスト「レッドライト・エネルギー!」
ホワイト「へっ!丁度いいぜ・・・試し斬り、させてもらうかア!」
ぐるぐると剣を回し始めたホワイトは、途中でピタリと走るのをやめ、止まってしまう。
反対にブレストは、右手の剣を赤い光に変化させ、振りかぶった後、撃った。
ホワイト「行くぜッ!」
ブレスト「!」
赤い光を、まるでそこに普通の地面があるように走って登ると、頂点で更に高く飛んだ。
未だに剣を回転させていたが、故意的にか、それとも偶然か、剣を手放してしまう。
回転の遠心力によって、剣は高く上がっていく。ホワイトよりも、更に高く。
ブレスト「ふっ・・・その程度か。ならば僕の剣、受けてみろ!光儀刀―」
ホワイト「正儀閨破ぁぁぁぁ!」
剣の落下速度と、自らの落下速度を同調させて、上手く剣を左手に掴んだ。途端に、回転は収まっていく。
しかし、放出される青い光だけは、止まらずに、というよりも、先程よりも勢いを増して、放ち続けている。
それらは、雹が降り注ぐ時のように、連続で地面に突き刺さっていく。これがホワイトの、「正儀閨破」(せいぎけいは)だ。
ホワイト「どうでい!」
着地したホワイトは、自信満々に剣を振り上げて、叫んだ。だが―
ブレスト「まだ分からないか。僕の光気が上がっていることに・・・なら教えてやろう。」
声だけが、響いた。ラリマ姫にはとてつもなく恐ろしく見えたことだろう。そして、強大な赤い光を放つ剣を握り締め、青い光を吹き飛ばした。
ブレスト「光儀刀、『陽儀斬』だ。」
―赤い光がとてつもない速さで生み出され、集結されていく。その恐ろしさに、ホワイトは後ろを向いて走り出した。
ラリマ「ホワイトッ!なんで戦わないんですか?」
ホワイト「いーから黙ってろー!あんな奴に勝てるかー!」
先ほどまでの威勢はどこへいったのか、今はラリマ姫をおぶって、逃げ回っている。
逃げる理由も、分からなくはない。第一の理由として、ホワイトが放ったあれだけの青い光を一瞬で打ち消した。第二の理由として―
ブレスト「鈍い。」
―これだ。どこへ逃げようと、ほぼ一瞬のうちに先回りされて、目の前に現れる。
ホワイト「うげっ。てめえと遊んでる暇、ねえんだよ!」
ブレスト「どうかな。今さっきまで、僕に「勝つ勝つ」と吠えていたのは誰だ?」
ラリマ「ホワイト・・・私に考えがあります。」
耳元でささやき、出来るだけブレストに聞こえないようにした・・・
続く