第三十二話 最凶のタッグ
ラリマ「嫌ですわ。私、ご参加してみたいのです。」
「し、しかし姫様・・・・・・」
受付でラリマ姫が、役員を困らせていた。どうやらラリマ姫は参加するといって聞かないらしい。
カイス「姫様。ここはどうか父上のご意見を優先されては?」
ラリマ「カイスまで・・・あっ」
受付まで歩いてきた、丁度そこへ、ホワイトと出くわした。ホワイトは差し出された紙に、乱雑に名前を書いた。
「ホワイト=ザ=ラシアロストさまでございますね?」
ホワイト「おうっ」
カイス「なななななんで貴様が参加するのだ?!」
口早にそういうと、ホワイトは分けが分からない、といった顔をして、カイスを見据えた。
ホワイト「俺が出ちゃいけねーのかよ?」
ラリマ「貴方は今朝、私をお助けくださった方ですわね?」
丁寧にお辞儀すると、決まり悪そうにホワイトは苦笑いし、挨拶した。
ラリマ「どうかこのラリマをお連れ致させていただけませんか?」
カイス「はあ・・・致し方ない。ホワイト、姫様を頼むぞ。」
ホワイト「何?姫も出んのか!?」
これほど驚いたことはない。そもそも、賞品授与は姫さまなのに、その姫様が参加してどうするのだろう。
ホワイト「まー・・・いいけど。」
ラリマ「本当でございますか?恩に着ます。あの・・・お名前は?」
受付の参加名簿には、カイスに名前を書かせ、ラリマ姫が遠慮がちに聞いた。
それに対し、ホワイトはいつも通り自信満々・・・ではなかった。流石に一国の姫様相手となると、ホワイトでも緊張というものは覚える。
ホワイト「んあ?えーと・・・ホワイトだ。えーと、じゃあ、どこから始めればいいんだ?」
カイス「それは貴様が決めるのだぞ。いいか、姫様にもしものことが無いように、くれぐれも注意しておけ。」
これは「頼み」ではない。一種の「脅迫」ともいえよう。とりあえずホワイトは、商業場から始めることとした。
手早くそこへと足を運ぶと、既に何匹かの参加者が見えた。
ホワイト「戦闘は?出来んのか?」
ラリマ「少々は・・・出来ますわ。」
ホワイト「んー・・・なんか狂うな。」
まるで外国の人が話したような感じで、ラリマ姫は首を傾げた。
ホワイト「もっとさぁ、なんつえば・・・そうそう。軽い言葉で話そうぜ。」
ラリマ「軽い言葉・・・でございますか?」
ホワイト「それが違くて。んっと・・・軽い言葉・・・「なの?」とかさ。」
どうやら意味が通じたらしく、一時悩んだように見えたが、ラリマ姫は笑顔で、
ラリマ「努力しますわ。・・・あ、違った・・・努力・・・する。」
ホワイト「そんな感じだな。うん。」
『只今より、狩猟大会を開催いたします。』
そのアナウンスが流れると、花火が三発、上がった。そして、引き続き大歓声だ。
ホワイト「じゃ、行くか!」
ラステ「国王・・・・・・」
ゾルグ「気づいている。」
王座の間にも、先ほどのアナウンスは入った。が、どうやら別の何かを、直感しているらしい。
おびただしい気配を感じ取っているのか、ゾルグも、ラステさえも、焦りが見える。
ゾルグ「何故・・・組織の気配が・・・するんだ?」
ラステ「狙いは、紅蓮石と・・・伯龍。だと思います。それに、姫も狙われていると・・・」
ゾルグ「姫が?何故に?それに姫はカイスが―」
扉をバタンと開けて、一匹のピュアチャオが入ってきた。そのチャオは伝令です、というと、ゾルグの前にひざまづいた。
ゾルグ「どうした?」
「はっ。狩猟大会に紛れて、謎の獣の数々、黒きチャオと共に、参加者を襲撃している模様です。」
ゾルグ「そうか・・・姫の護衛を頼むぞ。」
「それが・・・・・・」
続く