第三十話 選択肢は二つ
あとすこしでバズにぶつかるというところで、ホワイトは飛び上がった。
そして、思いっきり剣を振り上げて、その勢いを利用し、今度は剣を投げ飛ばした―標的は勿論、バズだ。
バズ「覚醒は出来んのに、名の解放はできねぇようだな。ほれみとけ。これが名の解放ってもんだ!」
渦巻いた水色の光は、渦巻く刃の形をした、光儀刀に成る。それを上に上げて、投げられた剣に狙いを定めた。
バズ「光儀刀―『零系』!」
光儀刀、「零系」(ぜろけい)と、その言葉の一言一言に力を入れて、叫んだ。
それに呼応するかのように、光儀刀は水色の光を輝かせ、まとった。更に、溢れ出される光をどんどん集結する。
投げられた剣は、呆気なく弾かれ、地面に落ちてくるホワイトの左手に受け取られた。
ホワイト「『覚醒』も出来んのかよ・・・ちくしょうっ」
バズ「『名の解放』と『覚醒』。順番的には『名の解放』後に『覚醒』なんだけどな。お前ぇの場合、順番が違え。」
ホワイト「うるせーよ!」
もう一度走り出したホワイト。今度はそれ程距離が離れていないので、バズの目の前で剣を振り下ろした。
一撃目は避けられたが、その振り下ろした反動を再び力へと変える―ホワイト特有の剣技。
ホワイト「隔月斬!」
バズが避けていったその位置の、更に後ろへと素早く移動したホワイトは、剣を強く振りつけた。
しかし、一度は当ると思ったものの、容易に受け止められてしまった・・・しかも、バズは後ろ向きで。
バズ「どうだ?こいつを極めると、剣と一体化する。つまりは、目が二つあるようなもんだ。」
ホワイト「な、てめえ・・・どうやって・・・」
バズ「剪定!」(せんてい)
振り向き様にバズは、剣を大きく縦に、ホワイトを弾くと、ぐるぐると剣を回し、切りつけた。
その切りつけた場所から、水色の光の「衝撃」が生み出され、ホワイトは切り刻まれるような感覚と同時に、吹き飛ばされ、壁に直撃してしまう。
バズ「これが俺とお前ぇの、大きな違いってやつよ。」
ホワイト「ちく・・・しょう・・・・・・」
一所懸命に体を動かそうと必死だが、剣も形を留めれず、青い光もほとんど持ちえていない今、勝機は99%無い。
ホワイト「(ざけんじゃねーぞ・・・俺は・・・負けねえ・・・)」
『そうか』
いきなりのその声に、ホワイトは驚いた。今はバズとの戦闘中のはずだ。なぜ今、ここにいるのか・・・
何故、このような、宇宙のような場所に、俺は居るのか。目の前にいる、白い光は何だ・・・?
そのとき、ホワイトは思い出した。そうだ。ここは、俺が船から落とされた時の・・・俺の力が強くなったとこだ、と。
『今―貴様は。』
白い光が主構成物質の、ホワイトと同じような体の形をした何かが、喋りだす。
『名の解放という光術を身に付けつことを優先するのか?』
ホワイト『他に何があんだよ?』
『以前の扉は「封門」。「覚醒」を身に付ける為のものだ。そしてこれは、「錬門」。』
今度の扉は、中央部に三つの穴が開いていた。何かが必要なのか、それとも何かを埋めるのか。
『貴様が選べ。今の貴様ならば・・・どちらも可能だ。』
ホワイト『・・・俺は・・・』
続く