第二十九話 気楽な二対の戦士
癖とも言えようか、背後から話しかけられるだけで、遂反応し、構えてしまうホワイト。
どうやら、水色のダーク・チカラで、組織のチャオではないようだ。これは予想だが。
ホワイト「お、おう。誰だっけ?」
バズ「俺はバズってんだ。宜しくな!」
―と、ここで握手を一つ、交わす。そして、バズは言った。
バズ「どうだ?大会に出るんなら、俺と手合わせしねえか?」
「手合わせ」という言葉に、素早く反応したホワイトは、目つきを変えて微笑した。
ホワイト「やるっ!やるぜっ!」
バズ「よぅし。気に入ったァ!着いて来い!」
この二匹、意外と相性が合うらしい。
あやしそうで怪しくは無い、バズというチャオに着いてきてみたが、どうやら普通の公園。だが、チャオは一匹もいない。
その公園を観察していると、バズは木の枝を拾って、地面に円を描き始めた。
ホワイト「何してんだ?」
バズ「まー、見てろって。ほらよ!」
木の枝を上に、高く放り投げると、ホワイトは枝を目で追い、丁度、枝の折り返し地点でバズに目を向けた。
バズ「あの枝が落ちたら、スタートだ。この円は「壁」だからな・・・出ない様に、気をつけろよ!」
ホワイト「おうっ」
その動きは、とても見えるものではない。地面に枝が着地した、と把握した時には既に、バズの姿は後ろにあった。
その体と一体化しているような感じで、水色の右手がぼやけ始める。背後を振り向いたホワイトは、それが「光」であると確信した。
バズ「でい!」
右手を振り払って、まるで剣を振るかのように、光を放った。その光は縦長に、三日月状になっており、至近距離なので避けようが無い。
瞬時に反応し、ホワイトは左手から青い光を出して、水色の光に向けた。
ホワイト「ブルーライト・エネルギーッ!」
三日月状の光の、丁度中心部に向けて、青い光は撃たれた。渦を巻くように光同士は消えていき、跡には一陣の風が残る。
バズ「見込み通り、やるな!」
ホワイト「そりゃ、そうだろ。俺ゃ、これでも組織を倒すやつだぜ!」
バズ「へー、そうかい。なら、これはどうだぁ?!」
右手を再び振り上げたバズ。それに対応し、ホワイトは「三日月状」の光に策を練った。
だが、バズは右手に溜めた光を、地面に向けて殴りつけただけ―
すると、ホワイトの地面から水色の光が噴出し、したから上へと吹き飛ばされてしまった。
ホワイト「くそっ」
空中でくるくると回転して、体勢を整えようとすると、バズがいたところから、既に消えていた。
ホワイト「どこいった!?」
バズ「こっちだよ!」
空に止まったような感覚が走り、背後から強烈な打撃を受けた。地面をそりながら、「壁」に突撃してしまうホワイト。
ホワイト「ッ痛ぇー・・・野郎・・・やりやがったな・・・」
バズ「どうしたほらぁ?そんなもんかい?」
地面に着地し、右手と左手、両方から水色の光を出しながら、バズが嘲るように言った。
ホワイト「ちげーよ。―そんなら、こいつを喰らってみろ!」
左手を振り上げ、右足を前に出す。青い光が増大し、漸次、刀を象ってゆく。
そこから溢れるように、青い光が流れ出た。内なる力を解放する、『覚醒』である。
バズ「光儀刀でくるか。ならこっちも、ちと本気を出すぜ。」
ホワイト「だぁぁぁ!」
左手に剣を握り締めると、走り出す。バズは両手を前で組み合わせ、そこから渦状に光は巻かれた。
続く