第二十六話 現在任務遂行中 (1)
セザン「大佐、どうしてここへ?」
すぐさま駆けつけたセザンが、テランの居た地面を念入りに調べているラステに話しかけた。
ラステ「いや、散歩中に黒い光の気配を感じたからな。来てみたんだが―
ホワイト「よーラステ!なんでここにいるんだよ!?」
やっとのことでその疑問を思いついたホワイトが、ラステに聞いた。ラステは村が襲われたときに、消えた筈だ。
今思ってみれば、消えたのは「死」が理由ではなく、死んだと見せかけて大陸へ移ったのかもしれない。(第一話参照)
ラステ「ん?何を言ってるんだ。俺はラート大陸国家防衛大佐だからここにいるんじゃないか。」
ニヤニヤとしながらラステは言った。何を企んでいるのかは分からないが、ホワイトにはその意味は理解不能・・・・というより、答えになっていない。
ホワイト「そーじゃねー。ラステ、お前、ケイと一緒に村が襲われたとき、どっかいっちまったろ?」
ラステ「だからケイと一緒に大陸に戻ったんだ。理解できたかな、ホワイト君?」
カイス「そうではなく・・・・・なぜヒーズに教えてやらん?」
鋭い突っ込みにラステは答えに困っているようにも見えたが、言うのをためらっているようだ。
ラステ「ヒーズには言わない方がいい。あいつはまだまだ強くなる。」
―という答えに偽造し、本心を隠していることを見抜けたのはカイスだけだったろう。
ホワイト「それから、なんで砂なんか使えんだよ?」
ラステ「お前だって光なんか使ってるじゃないか。」
言われて見ればそうかもしれない。周囲に光を使うチャオが居すぎるから砂を使うのが不思議に見えるだけで。
でも、何かおかしい。第一、光はチャオを構成しているものだと考えると、そこから「出している」ものだ。
しかし、砂は全く別物。「誰のものか」と聞かれれば、「誰のものでもない」と答えるだろう。
カイス「違うな。砂はいわゆる、「公共物」だ。光は周りから得るものでなくだな・・・・」
ラステ「分かった分かった。答えるよ。」
そういってラステは、地面に向けて両手を差し伸べるように、手を伸ばした。
砂が上がってきて、散ると、砂の一粒一粒が、キラキラと輝いているのが分かる。
ラステ「つまりは、砂に光を加えて、操ってるんだ。使ってるのは砂でも、方法は光というわけさ。まア、本当に光でなくて、「それ」を出すことが出来るなら、凄いけど。」
ホワイト「ってことは、ラステは光も出せんのか?」
ラステ「いや、出せない。砂に「入れる」ことは出来ても、砂から出すことは出来ない。ま、簡単に言えば砂を操ってんのと変わんないけど。」
複雑な説明にホワイトは頭が混乱していることだと思うから、その為にもまとめておこう。
ラステは、砂の一粒に光を入れ、その光は自由に操れるから、砂も操れることになる。
だが、光そのものは出せない。そこが通常のホワイトのようなチャオと違うところだろう。
セザン「処で、大佐はこれからどうするおつもりで?」
ラステ「あ、俺?っとねえ、俺はとりあえず依頼を完了しないとなあ。」
カイス「何かの任務か?丁度いい。今、ヒーズ達と逸れていてな。情報収集の為にも同行させてくれ。」
ラステ「う~ん・・・カイスならだいじょーぶかもしんないけど、ホワイトは駄目だな。」
ホワイト「なんで?!」
予想するに、ホワイトでは入れないところといえば、例えば「高貴なる場所」というのはまず無理だろう。
セザン「あの任務なのですね?」
ラステ「まーな。オマケにあそこのお転婆姫さまが脱走したときた。状況は最悪だ。」
カイス「お転婆姫・・?というと、矢張り『ガーランド大国』か・・・・・」
(2)へ続く