第十七話 カートレッジ塔―最後の七福神
ホワイト「悪ぃな、ネシア。治療に、それから泊めてもらっちまって。」
ネシア「いえ。この子・・・バートを助けてもらったお礼は、これぐらいしかできませんし。」
リヴァー・アルトに来たホワイトたちは、休息を取った。その後、組織のチャオが、子供チャオを襲ったのだ。
ノアンというチャオは、圧倒的な強さで、アヴェンをも倒した。ホワイトが到着すると、逃げ、「カートレッジ塔へ来い」と言い残していった。
助けた子供チャオの親、ネシアに助けてもらい、ホワイトは一夜を過ごした。今は、昼前だ。
ホワイト「じゃ、俺、行くぜ。」
ネシア「もう、いいんですか?」
ホワイト「ああ。こいつらが起きたら、先にいってると、伝えてくれ。じゃなっ!」
そういって、家を走って出て行くホワイトは、地図を見て、考えた。次行く場所は、確か北だったはずだが、それらしい塔など、見当たらない。
ホワイト「・・・どこにいきゃいいんだ?」
カイス「全く。お前だけで行けるわけがないだろう?」
家から、カイスたちが、元気そうな姿で出てきた。苦笑いしながら、ホワイトは右手を突き出した。
???「来ますかね・・?やつら?」
そこは、周辺の地形が上から見えるほどの、高い場所だった。
オニキスのダーク・ヒコウ・チカラチャオが三匹、紫のニュートラル・チカラのチャオ、ノアンに話しかけている。
ノアン「あんずるな、エビル。ホテイ、ベンテも準備をしておけ。」
ホテイ「はっ。了解しました。・・・それで、敵は?」
ノアン「―来たぞ。」
意外と広いこの部屋の、十数個あるドアの一つが吹き飛び、四匹のチャオが入ってきた。
床には大きな「4」の文字が書いてあり、その中心に・・・ホワイトが立った。
ベンテ「フフ。俺はどいつと戦えばいい?」
ヒーズの前に立ちながらも、けらけらと笑いながら聞くチャオ、ベンテは、既に構えを取った。右手を前に突き出し、左手を右手に重ねている。
ヒーズ「名は?」
ベンテ「七福神、近衛隊長、ベンテ様だ!」
その時、カイスの前にはエビルという名のチャオが立ち、カイスは剣に手をかけていた。
アヴェンの前には、異様な雰囲気が漂う、ホテイというチャオだ。
意外と広かったこの広間も、このメンバーが戦えば狭くなるだろうと、ノアンが地面を足で叩いた。
部屋は三分割され、横に範囲が広がったように思えたが、ホワイトはそこに入っていなかった。
ノアンは辺りを見回し、ホワイトがいないことを確認すると、もう一度地面を足で叩いた。
ホワイト「へへ・・・随分と高いなぁ。そろそろあいつが来るだろ・・・・」
ノアン「いつの間にここにいた?」
晴れた空とは対照的に、強く風が吹いている。屋上だ。穴の開いた地面から、ノアンは現れ、ホワイトに向けて言葉を放った。
ホワイト「床蹴ったら、ここに来た。なんの罠だこりゃ?」
ノアン「貴様をおびき出す罠だ。」
右手を高く挙げて、そこに左手を重ねると、そこから黒煙が溢れるように出た。
それは剣の形を象って、腕を下ろすと、有体の剣となる。
ホワイト「すげーな。てめぇ、強えだろ?」
ノアン「お前よりはな。始めようか・・・・「死者を狩る者」、ノアン=ジェール、指令によって、お前を倒す!」
ホワイト「上等!」
その頃、ヒーズとベンテの戦いは・・・・・・
ベンテ「さあ、やるぜ!」
ヒーズ「はぁっ!」
剣を大きく振りかぶりながら、高くジャンプしたヒーズは、そのまま急降下する。
ベンテは構えを取ったままその構えを崩さずに、ヒーズが当る寸前、動き出した。
剣を右手で掴むと、左手をヒーズの右手に重ねて、受け止めた。
ベンテの右手から、どんどん凍結していき・・・更に、ヒーズの右手と剣も、凍結した。
ベンテ「へへっ・・・どうするかなぁ?」
ヒーズ「氷結―核弾刀!!」
足をタッとひねらせ、回転するヒーズ。そのままくるくると廻るが、ベンテは離れない。
それどころか、氷の侵食がベンテよりも、ヒーズのほうが進んでいる。
回転が止まったのは、ヒーズの足が床と完全に凍結してからだ。その時にはもう、首まで凍っていた。
ヒーズ「ち・・・」
ベンテ「そこまでか?・・・なら!ここでてめぇは終わりだっ!」
ヒーズの凍っている腹を蹴飛ばし、ベンテの氷ははがれたが、ヒーズは手と剣がくっついてるせいか、侵食し続けている。
もうヒーズの口まで凍っており、喋れるはずもない。
ベンテ「ははは!折角だからよぉ・・・俺の剣で止め、指してやるぜ!」
ベンテの身体は、ビシャスのときのように黒煙にまとわれていき、その右手には剣が握られた。
既にヒーズは角まで凍っており、全く動けないようだ。そして、ベンテは走り出した。ヒーズに向かって・・・・・・・
ベンテ「失せな・・・二度と俺の前に現れるな!頭の中で理解できたら、存分に消えろ!」
「―零式―『十進』!」という叫びが、鳴り響く・・・・
続く