第十四話 地底の洞窟
『ここは、どこだろう?』
ヴルグ七福神、ビシャスの力の前に、倒されてしまうヒーズ。しかし、ビシャスは消え去り、そこにはクジュと、ロジュ。
フロンタとマイルは、存在しないチャオであり、罠だったのだ。彼らもまた、七福神で、ビシャスを倒したのも、また彼らだ。
ホワイトらを海の底へ沈めたのも・・・・彼らだ。そして、ホワイトたちは、クジュの予想通り、生き残っていた。ホワイト「以外」は・・・・・・・・
『ここは、どこだ?』
真っ暗な世界。周りを見回したって、なんにもない。宇宙空間のようで、まるで境目がないよう・・・・
『誰か、いないのか?』
「ここだ。ホワイト」
そこに現れたのは、ぼやけた白い光。ホワイト・・・そうだ、自分はホワイトだ。
ホワイト「あんた、誰だ?」
「お前の「力」を具現化させたものといえば、分かるかな・・・・お前は今。」
そういって、その光はチャオの形を象った。・・・まぎれもない。それは、ホワイト自身の姿、そのものだった。
「ここはお前の「心」。フュザの強大な闇の力によって拡大されたお前の力は、もはや封印で支えられなくなっているのだ。」
なにをいっているのか、さっぱり分からないという顔で、ホワイトは光を見ていた。その声もまた、誰もいない体育館のように響いている。
「今こそ、お前の“封印”は解く時だ。第一の扉を・・・お前に、開くことが出来るか。失敗すれば・・・命はない。二度と・・・」
ホワイト「へ・・・やる、やってやろーじゃねーか!第一の扉っつーやつを、開けばいいんだろ?」
「そうだ。但し、これは通常、不可能だ。自らが封印者よりも強い力を持っていなければな。」
そういい残して、光は消え、目の前に大きな・・・・大きすぎる扉が現れた。
カイス「駄目だ。ホワイトは・・・起きん。」
不思議な空気が流れる洞窟の奥で、ホワイトは寝ていた。
カイスとヒーズが、ホワイトを囲んでいるが、その後ろに、奇妙なチャオが居た。
水色の身体に、水色の模様を持ち、薄緑色の羽を持つ、ニュートラル・ヒコウ・ヒコウのチャオだ。
ヒーズ「君は、誰だ?」
アヴェン「俺は、アヴェン。今では名も無き剣士さ。」
カイス「ここは、どこなんだ?知ってることを、話してくれ。」
すると、アヴェンは面倒そうに壁によっかかり、口を開いた。
アヴェン「ここは「地底洞窟」。俺は、地上で七年間過ごし、ここに身を隠した。」
カイス「身を隠した・・・?」
アヴェン「ま、それはいいや。お前らが落ちてきたから、俺がかくまった訳。で、相手はどいつ?」
そこまで見抜かれていたのか、と、ヒーズとカイスが驚いた。答えたのは、カイス。ヒーズは自分自身への悔しさから、声が出なさそうだ。
カイス「組織の・・・・下っ端に指示を入れる階級のもの共だ。」
アヴェン「七福神だな?・・・ここで俺が行ってぶっ飛ばすのもいいけど、生憎、俺はそんなつもり、ないんでね。」
誰も頼んでなんか居ない、といいたそうな表情で、カイスがためらった。
アヴェン「でも、そいつは起きるまでまたなきゃ駄目だろ。敵の数は?」
カイス「二匹だ。」
アヴェン「クジュとロジュね。じゃ、君ら早速、特訓しよっか。」
特訓・・・・?ヒーズは辺りを見回しながら、誰かが何かいうのを待っていた。しかし、カイスは承諾していたし、他に誰もいなかったので、ヒーズは頷いた。
ヒーズ「どうやって特訓を?」
アヴェン「ま、君らにこの特訓、乗り切れるかな?これだよ、これ。こっちの壁見てみな。」
カイスとヒーズはアヴェンの前を横切り、手の先を見た。
そこには、「大封」と書かれた張り紙が張ってあり、オマケに壁がそこにあるのかさえ、分からないほど多い。
カイス「ほう。この封を解けと。」
アヴェン「洞察が鋭いようで。」
ヒーズ「これで、強くなれるんだな?」
勿論!という表情で、アヴェンは右腕を突き出した。特訓が、始まった・・・・ホワイトが、起きるまでの・・・・・・・・・・・
ロジュ「もうくたばってんだろ。」
クジュ「いや、隊長に怒られるだろう。しかと、始末しなければな。」
水上に浮かびながら、未だに待ち続けるクジュとロジュ。
そこへ、一匹のダーク・ヒコウ・チカラの、オニキスチャオがやってきた。右手に、巨大な剣を持っている。
ロジュ「生きてたな、しぶとく。」
クジュ「ビシャス・・・・てっきり俺は、逃げたのかと思ったが。」
ビシャス「てめえら、どういうつもりだ。」
そこでクジュは、ピラリと一枚の紙を、どこからか取り出した。
・ ・・のではなく、それは映像で、丸い機械から出ているのであった。
クジュ「反逆者、ビシャス。フュザ殿の力を弱め、自分に出番を作ろうとした疑い。始末せよ。」
ビシャス「さすが我が組織。情報がお早い。」
ガチャリと、剣を構えたのは、クジュもロジュもビシャスも、ほぼ同時だった。
そして、水上での、組織のチャオと組織のチャオの闘いが、始まった。
全てが完結する時、封印の扉が―開く。
続く