第十一話 港町大激戦
ヒーズ「こうなったら僕等も・・・・なに!?」
ホワイトを助けるために走り出したヒーズだが、またしても見えない壁に拒まれる。
ここは、崖に囲まれた港町、「パラディン」。定期船に乗るため、ここに来たのだが・・・・
クォンという、黒い、黄色いバンダナを装着したチャオの情報によると、定期船は停止中。
夕暮れ時の港で、船にのせてもらえるかもしれないという情報をくれたので、行ってみようと思った所に・・・
爆音と、沈んでいる船・・・・更に、組織らしきもののチャオ、フュザ。
フュザ「手助け無用。どちらかが戦う意志を持たなくなるまで、壁は消えん。」
ガンッ、ガンッと、何度も何度もフュザを剣で叩きつけているが、見えない壁に阻まれる。
フュザは手をゆっくりと上に挙げると、ホワイトに向かって黒い弾を一発、放った。
ホワイト「ぐあっ・・・・・・」
山形に飛んでいくホワイト。地面に着地すると、コンクリートに強く叩きつけられた痛みからか、ホワイトの動きが鈍い。
再びフュザに向かっていくが、今度も黒い弾を放たれた―が、今度はそれを斬った。
フュザ「フ・・・・ならば、こちらも行こう。はっ!」
フュザの右腕に、黒煙が集まっていき、それは集結して剣になる。
ホワイトを斬りに走ると、ホワイトは反撃に剣を、相手の剣めがけて振るが・・・・拒まれる。
そこの隙に、フュザの剣の一撃が入り、ホワイトは三メートルは吹き飛んだ。
フュザ「ん・・・光儀刀を持続できていないのか?・・・・フン。七福神を倒したというから、どんな奴かと思えば。期待はずれだ。失せろ!」
ホワイト「ふ・・・ざけんなぁ!」
素早い剣の攻撃を、ジャンプして避けるホワイト。相手は下にいるので、剣を作りだしたホワイトは・・・・
そのままフュザの背後に剣の平打ちを喰らわせた。今度は見えない壁に拒まれずに、フュザは全体を覆っている見えない壁にぶつかった。
フュザ「フ・・・・当ったところで、無駄だ。暗黒斬!」
黒い光に覆われた剣を持ち、ホワイトに向かって走るフュザ。
残り一メートルぐらいのところで、フュザは剣を振った。そこから黒い光の光線が放たれ、ホワイトは剣で防いだ。
ホワイト「ぐ・・・・づぁぁぁぁぁ!!」
フュザ「重ねてやろうか。・・・・・暗黒斬!」
再び、フュザの剣から光線が放たれ、ホワイトの剣に二重に重なった黒い光が勢いを付けている。
ホワイトは剣を素早く縦にすると、そのまま走っていった。見事に黒い光線は真っ二つに切れていき、消えていく。
フュザ「フフ・・・ハハハハ!貴様、私が至近距離で、攻撃しないとでも、思ったか!今度こそ終わりだ!」
剣を素早く青い光に変えたホワイトは、左手を剣を振ったフュザの右手にぶつけた。
ホワイト「ブルーライト・エネルギー!」
剣ごと、青い光がフュザを吹き飛ばしていき、この場所を覆っていた見えない壁を貫き、フュザは海に落ちていった。
それと同時に、ホワイトが左手を上に高く挙げて、ガッツポーズを取った。
ホワイト「少しは船の気持ちが判ったか!!」
カイス「ホワイト!」
覆っていた壁も解けたらしく、カイスとヒーズが走りながら向かってきた。リュックをもっているのは、なぜかヒーズだが、ホワイトはそんなことは気にしなかった。
ましてや、今のホワイトを呼ぶ、カイスの口調など、聞こえもしなかったらしい。
ホワイト「おお!俺、勝ったずぇっ!!」
カイスの拳をまともに受けて、ホワイトは海に吹き飛び、落ちていく。
一応、オヨギタイプでは無い為、ましてや泳いだことがないホワイトは、海に落ちる・・・水につかるのは始めてなので、必死にもがいていた。
その時に、ホワイトの左手から青い光が出てきたと思うと、それは面積の広い、平らなボード形状の形になった。
カイス「ふ。参ったかホワイト!私の言うことを無視して勝手に戦いを挑むからだっ」
ホワイト「お~~~い!」
青い光の空飛ぶ乗り物にのったホワイトが、猛スピードで向かってくる。
その光に、驚きを隠すことは、カイスにでさえ、出来なかったようだ。
????「あんた等、強いなー!」
見ると、村の方から、さまざまなチャオが、いっぱい出てきていた。
一番近いのは、白い帽子を被っている、いかにも船乗りっぽいチャオだ。身体は水色で、ニュートラル・オヨギのようなたれ髪がある。
フロンタ「俺ゃ、フロンタ=ポールってんだ。お前さんらなら、海を越えられっかもしんねえ。どうだ?いっちょ―
ホワイト「乗るぜ!乗る乗る乗る!」
飛び跳ねながら叫ぶホワイト。支度を済ませた後、ホワイトはリュックを持ち、船に乗った。フロンタはもう、舵をとる寸前、という体勢で待っていた。
ヒーズ「準備完了だ。」
カイス「リヴァー・アルトまで頼む。地図に載っているはずだ。」
海からいける航路もきっちりと描いてあるのが、フロンタの自制心を破壊したのか。
船はホワイトの出港合図と共に、とんでもないスピードで水平線に消えた。