Viva la revolution 2
―あなたにささっている金のハリを抜けば・・・
確かにこの世界は沈みます・・・。
ですが、このカオスエメラルドがあなたをここに置くわけにはいかないと、
存じております。
先ほど、世界樹の下で遊ぶチャオを見つけました。
彼らも死ぬでしょう。
ですが、私たち地球の生物が滅亡してしまうことになるのです!
―・・・なんだあの生物は?
―カオス0と言います。カオスエメラルドといういわば、
マスターエメラルドという力を守り抜く役割を与えられた、
いわば守護神のようなもので、彼はそのお告げ人というわけです。
―あの姿は・・・。
―元々人間だったあの男はカオスエメラルドに選ばれたのです。
特に理由はないですが、そう、運命という奴ですかね。
そして、彼は知能を身につけ、このように原人の姿をこのように変えられたのです。
―チャオと言っていたが・・・。
―チャオはマスターの生成した世界でもっとも美しい生物です。
そして、そのカオス0は当然自分たちの姿に気がつくはずが無く、
話を続けた。
―マスターよ!どうか、この地球をお救いください!
どす低い音で何かが響いた。
すると、ルートのペンダントが光り出し、その音が声となった。
ルートはその声を聞き取ることができた。
―・・・0よ。おまえには分からないだろうが・・・。
私は未来が見える知能を持ってしまった。
若いとき、私はそれを使ってしまった・・・そして、私は後悔した。
おまえがハリを抜こうとも、このままにしようとも、
いつかこの地球は滅びる。
私は宇宙を舞い、どこかで新たな生物を生み出すことになる。
運命という名において。
―そ、そんなバカな・・・。
―しかし・・・しかしながら、私は己の未来を見ることはできなかった。
そう、己こそが未来を変えるのかもしれないと。
だが、私はもう知能は使わない。
知能が無限にあろうとも、私は怖さには一生勝てないのだ。
己には己が均衡することはあっても超えることはできないのだよ。
0よ・・・抜きたいのなら抜けばよい。おまえには、「あれ」を渡そう。
ただし、「あれ」の期限はあまり無い・・・せいぜい5万年程度だ・・・。
運命はおまえに預けた・・・。世界を変えるのはおまえであってほしい。
0はうつむいて聞いていた。
やがてマスターエメラルドの前に立った。
そして、それに刺さっている金のハリをぐっとつかんで、抜いた。
その瞬間光り輝いて、ルート達は現代にもどっていた。
―そして、0は恐怖に襲われることになる。
自分がもし、運命を悪い方向に導いたら・・・と。
そして、彼はどこかに逃げてしまった。
そのペンダントを捨てて。
―知能があまりに発達したから・・・か。
そして、これ・・・は。
―私はあの後マスターに生成された。
彼はこうなることを予想していた、いや、見えていたのよ。
そして、ここにいる彼はあなたにそれを託すことにした。
―何故・・・俺なんかを?
すると、ライカは笑って言った。
―そんなことを聞くくらい、人間の知能は発達しているのね。
でもまぁ、その知能を抑える言葉も作っちゃったんだけどね。あなたたちは。
ふふ・・・「運命」よ。
チャオがまた生まれたことも、あなたが過去を知ったことも、私と会ったことも、
全部、その一言でかたづけられるの。
でも、あなたはこれまでのペンダントを渡してきた人間のように断りはしなかった。
怖くないの?このような世界を変える石をもらって。
―怖い、怖くないよりも、この世界を俺は客観的に見つめる知能ができてしまったんだ。
つまり、人ごと・・・のような。だから、俺は怖くはない。
それに・・・それに、俺は運命という言葉が大好きなのさ。
―そう・・・。なら、頼みますよ。マスターは何も言わない。もう、二度と。
それに己は己に一番遠い存在。
あなたが操る世界の結末は・・・果たしてどうなのかしらね?
そういうと、また光り輝いて、エメラルドもライカも消えてしまった。
チャオのDNA研究をしても意味はないだろう。
だからといって、これを使って悪にも正義にもなりたくはなかった。
ルートはふとむなしくなった。
何でもできる、というのは逆に無常になりそうだった。怖くはないが。
しかしながら、ルートは車に乗り込んだ。
自分の行く末は多岐にわたるだろう。
だからこそ、俺が世界がペンダントがどうなるかも、全部運命に託してみようと。
革命が起こるかもしれないし、明日世界が滅びるかもしれない。
その時はその時だ。・・・こう思うこともマスターは知っているのだろうか?
太陽は沈み始めていた。夕焼けがきれいだった。
ルートは明日もあの夕日を見たいなと思った。
でも、そんな時、ペンダントが輝くことに彼は気づくはずがなかった。
チャオはいつかどこかで生まれた。それは事実だ。
ただ、
マスターが生み出したのが真のチャオなのか、
人工で発生したのが真のチャオなのか。
それは分からない。
なぜなら・・・