usuallside~その6・玄武~

 ユージャル達は山道を歩いていた。突然ユージャルが振り返り、言った。
「そういえば、玄武さんって、どんな姿なの?僕は尻尾が蛇の亀って聞いたんだけど」
「だいたいその通りだよ。尻尾の蛇は意志を持ってるし」
 ヒーチャは少し考えていった。そして、
「それに、すっごくふれんどりぃだよ。友達なんだ♪」
 そう付け加えた。
「へぇ・・・。すごいな、ヒーチャ」
 ダーチャが感心していった。ヒーチャは照れたように言う。
「すごくないよ・・・村のみんなも友達だったもん・・・。それにあんまり会えなかったし・・・」
 周りの空気が重くなってきたと感じたユージャルは、すぐに聞いた。
「ところで、祠はどの辺にあるの?」
「えーと・・・・・、玄ちゃんが言うにはね、全部の山の麓に祠があって、全部玄ちゃんのところに繋がってるんだって」
「『玄ちゃん』?」
 ユージャルとダーチャが声をそろえて聞いた。
「玄ちゃんがそう呼んでっていったの。友達だからそう呼んでって」
「ふーん・・・」
 ユージャルとダーチャはまた声をそろえていった。
 ユージャルは前に向き直って山道を歩きだした。
 しばらく歩くと二股になった道があった。右側は、土がしっかりと踏み固められた道。左側は、でこぼこした細い獣道。チャオ一体が無理なく通れるぐらいの太さだ。
 ユージャルは一応立ち止まってヒーチャに聞いた。
「どっちの道に行った方がいいの?」
「あっち」
 ヒーチャは即答した。
「あっち?」
 ユージャルとダーチャは、ヒーチャの指さした方を向いた。
 それは獣道の方だった。
「何で?歩きにくいじゃん」
 ダーチャがヒーチャに聞く。
「こっちが近道なんだ♪玄ちゃんが教えてくれたの。山のいろんなことを知ってるんだよ」
 ダーチャは納得したような顔をしてユージャルに向き直った。
「ということで、向こう行くぞ」
 そういって獣道に向かった。
 ユージャルはあっけにとられてしばらく見ていたが、はっとしたようになってすぐに追いかけた。
 
 獣道を抜けてしばらくすると、小さな泉と祠があるところにでた。
 ユージャルはヒーチャに短く聞いて、ヒーチャは肯定した。
 ヒーチャは祠に近づいくと言った。
「玄ちゃん、久しぶり!チャイルだよ!」
 すると、祠から何か音がして、ヒーチャは後ずさった。
 祠の扉が音もなく開き、玄武がとびだしてきた。以外と小さい。近くにあった切り株に飛び乗った。
「久しぶり!チャイル。最近誰も来ないからつまらなかったんだ~」
「へ~・・・。あ、そうだ、新しい友達を紹介するね。チャイル君とユージャル君」
 玄武は切り株から飛び降り、ダーチャとユージャルに近づいた。
「よろしく、ユージャル君、チャイル君。僕は玄武の玄雷。この辺りの山を守ってるの」
 ユージャルとダーチャは簡単に自己紹介等をした。
「ふーん・・・、大変だね。僕もできるだけ協力したげる」
 ユージャルとダーチャが思わずポヨを?にすると、玄雷が言った。
「僕の爪、お守りにあげる。きっと役に立つよ。地の力がしみこんでいるから」
 ユージャル、ダーチャ、ヒーチャ、玄雷はそれからしばらく雑談をした。
しばらく経ち、日が傾いてきた。
「うわ、もうこんなになってる。今日は泊まっていきなよ」
「ありがとう。でもどこに?」
「あそこ」
 玄雷は祠を指さした。そしてさらに続ける。
「あれ、小型の転移ゲートになってるの。別のゲートまで数分でいけれるんだ♪」
「へぇ・・・」
「どこに繋がってるの?」
「別の祠とか、僕の寝殿。誰かがどこかの祠に来ると分かるようになってるの」

 それから、またしばらく雑談をし、玄雷の寝殿に泊まることになった。



イロイロナデキゴトヲノリコエ

このページについて
掲載号
週刊チャオ第131号
ページ番号
13 / 14
この作品について
タイトル
usuallydays
作者
バロン
初回掲載
週刊チャオ第127号
最終掲載
週刊チャオ第131号
連載期間
約29日