usuallside~その5・山~

 夜が明け、空が白み始めた。ユージャルは木にもたれかかって空をぼおっと眺めていた。
「朝、か・・・・・」
 そうつぶやき、立ち上がるとチャイル達に近づいた。
「朝だよ、チャイル」
 ユージャルの言葉に、二人はゆっくりと起きあがった。
「ふああああ。おはよ、ユージャル。もう朝か・・・まだ眠い・・・」
 チャイル(赤)は起きてすぐまた寝てしまった。
「ふああああ。おはよう、ユージャル君。朝早いね・・・」
 チャイル(白)はしゃっと起きた。
「呼び捨てでいいよ。ところで、二人をどうやって呼び分ければいいんだろ?」
「うーん・・・僕はヒーチャ、彼はダーチャでいいんじゃない?」
「なんで?」
「僕は、ヒーローチャオで、彼はダークチャオでしょ。その略」
「ふーん・・・じゃあ、ヒーチャ、さっさと朝ご飯食べて出発しようか」
「ダーチャは?」
「朝ご飯を用意し終わる頃には起きてくるよ」
 ユージュアルは立ち上がりながらいった。そして近くの森に入っていった。
 ヒーチャも立ち上がり、森に入っていった。
 そして、三十分ほど経った頃・・・。
「けっこう大漁だな・・・」
 ユージャルが両腕に大量の木の実を抱えて森から出てきた。ダーチャはまだだらしない格好(?)で眠っていた。
 ユージャルは木の実を地面に下ろすと、ダーチャに近寄った。
「ご飯だよ」
 ダーチャはばっと起きた。ユージャルはあきれたようにいった。
「食い意地が張ってるね」
「そんなこと無い」
 ダーチャは池で顔を洗った。
 ちょうどその時ヒーチャが帰ってきた。
「本当だー♪ダーチャ起きてる」
「ダーチャ?」
「名前が同じで紛らわしいから彼をヒーチャ、君をダーチャと呼ぶことにしたの」
「ふーん・・・ダークチャオってことか」
 ダーチャはすぐに納得した。ユージャルは名前が同じだと思考回路も似てるのかと思った。
 三体できのみを朝食として取ったがけっこう余ったのでお弁当として持っていくことにした。
 三体は川に沿って山を登っていった。しばらくいったところで突然ダーチャがユージャルに聞いた。
「この山ってさ、確か玄武山脈の一つだよな」
「?うん。そうだよ」
「玄武がいるんだよな確か」
「そうだっけ?」
 ヒーチャが話に割り込む。
「いるんだよ、確か。挨拶していった方がいいのかな?」
「ヒーチャもそう思う?」
「思う」
「どういうこと?」
「山にはいるときは山の神様に挨拶しないと災害が起こるところに誘い込まれるんだよ」
「へぇ・・・知らなかった」
「へぇ、ユージャルでも知らないことがあるんだ」
「僕だって万能て訳じゃないし。それじゃあ、玄武さんに挨拶しに行こうか」
「ユージャルは場所知ってる?」
「知らない。ダーチャは・・・知らないよね。ヒーチャは?」
「なんで僕は知らないと決めつける」
「だって、知らないでしょ?」
「・・・知らないけど・・・」
「僕は知ってるよ。玄武の祠っていうところ。何回も行ったことあるんだ♪」
「え、何で?」
「村の・・・近くだから・・・」
「・・・ごめん」
「謝る必要ないよ。行こう!」
「オー!」
 三体は元気に祠に向かって歩き出した。
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カナシイコト

このページについて
掲載号
週刊チャオ第130号
ページ番号
12 / 14
この作品について
タイトル
usuallydays
作者
バロン
初回掲載
週刊チャオ第127号
最終掲載
週刊チャオ第131号
連載期間
約29日