gillside~その5 シュガー・パウダー~
シュガー・パウダーことギル・ウイングは歩いていた。後ろにキル(キルクル)とスペル(クロウズ)を従えて。目的地は特になかった。世界を回り、自分たち以外の何かを企んでいるチャオを探す、それが目的だったから。とりあえず、世界の中心・・・なんにもないと言う噂だったが、その小さな島に来てみた。
小さな島は、何者かに焼かれて、木も何も生えていなかった。奇妙な形の岩がいくつかある。ただ、それだけだった。
「無駄足でしたか・・・」
「シュガー君。丁寧語は禁止ですよ♪」
スペルはからかうように言った。シュガーはすぐに言い直す。
「無駄足だったね・・・」
「よろしい」
「クロウズがスパルタなのだ!」
「今は「スペル」だ」
「うみゅう」
「次のところにま・・行こうか」
シュガーはあわてて言い直した。
三体はさっと空に飛び立った。しかし、シュガーはすぐにしりもちをついた。
「この姿だとやはり上手く飛べないようです。泳げなかったですし」
「シュ・ガ・ー・君♪」
「この姿だと上手く飛べないチャオ。それに泳げないチャオ」
「ガルポみたいに語尾にちゃおをつけた方が簡単みたいなのだ」
「これからはそうするチャオ」
「シュガー君、笑ってみて♪」
シュガーは無理矢理顔をゆがめた。
「もしかして普通に笑ったこと無いのかなのだ?」
「そうみたいだね♪」
スペルはにやりと笑うとシュガーに近寄った。
「な、何チャオ?」
スペルはニヤリ顔のままシュガーの顔をつまんだ。
「うにゃあ」
「・・・・・くすくすくす・・・・・」
キルは少し笑い始めた。
三十分ほど後・・・。
シュガーはまあ、上手く笑えるようになった。
「次はどこに行くのなのだ?」
「うーん・・・北北東の方に行ってみるか」
「根拠は何チャオ?」
「何となく」
「ふーん。ところで、どうやって次のところに行くチャオ?」
「そりゃ、飛んでいくんじゃないか?」
「僕はこの姿だと飛べないチャオ」
「キルにのしてもらえ」
「無理なのだ。ク・・・スペルはパワータイプでしょ?」
「ま、そうだけどね。私は非力だ」
「パワータイプなのに?」
「ああ♪」
「ふざけないでよチャオ。早く出発したいチャオに」
「しょうがないなぁ。捕まれシュガー」
シュガーは大人しくスペルに掴まった。
「そいじゃ行くか」
三体は大空に飛び立ったのだった。
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トメルコトガデキルモノ