gillside~その6・神殿~
シュガー、スペル、キルは海の上空を飛んでいた。正確に言うとシュガーは飛べないのでスペルに掴まっていたのだが。
スペルは突然宙返りをした。当然、シュガーは海に落ちそうになった。もちろんシュガーはスペルに文句を言う。
「落ちるからやめてって何度も言ってるチャオ!何で何度も宙返りするチャオ?」
スペルはさらりと返した。
「面白いから」
そこにキルが、
「スペルはシュガーがひっついてくるのが可愛いと思っているのなのだ♪」
「ちゃお?」
「ち、ちがうっっ!」
「赤くなったなのだ~!」
スペルは宙返りを繰り返した。シュガーは必死に掴まるが、落ちてしまった。
「シュガー!」
スペルが海面ぎりぎりでシュガーをキャッチした。
「あーよかった」
「心配するぐらいなら最初からあんなことしなければいいのになのだ」
「五月蝿い」
そんなことをしながらしばらく空を(高速で)飛んでいくと、下が陸になった。それでもしばらく行くと、下に何か建物が見えてきた。
「あ、シュガーが破壊しちゃったとこだ」
「そんな昔のことはもうどうでもいいチャオ」
「ということは、このまま行くと研究所後なのだ。本当にこっちでいいのか?なのだ」
「うーん・・・北と北西に大きな力を感じるんだよね~・・・とりあえず先に北西に行こう」
ということで、北西に方向転換をした。また真っ直ぐに進む。
スペルが今度は急降下を繰り返し始めた頃、目の前に大きな石でできた建物が見えた。・・・神殿だ。中から白い虎のような生き物が走りでてきた。口に何か珠のようなモノをくわえている。
続いて青い竜がでてきた。
「待ってよ、白君。返してよ、それ~」
「やだね♪」
虎は空に向けて思いっきりジャンプした。
その時、スペルが何回目かの急降下をし、シュガーが吹っ飛ばされ―――
虎にクリーンヒットした。
「あーあ、なのだ。スペル、どうするのなのだ・・・って、スペルどこ?」
キルが周りを見渡すと、虎とシュガーがぶつかって落下した地点にいた。
「おーい、大丈夫か?シュガー」
「白君大丈夫?(←ちゃっかり珠を取り返した)」
キルは四体のところへ降り立った。すると、丁度二体とも起きた。
二体とも異常はないようである。痛がってはいるが。
「スペルが急降下するから落ちちゃってぶつかっちゃったチャオ。ゴメンナサイチャオ」
シュガーは、虎に謝った。すると、キルが口を挟む。
「謝るべきはスペルのような気にするけど、なのだ」
スペルはキルを思いっきり回し蹴り、キルは即死した。(弱ッ)
すると竜がいった。
「白君懲らしめてくれてありがと♪大切な珠を取られたの」
「おいおい、僕はちょっと見せて、って借りただけだぞ」
「白君は信用ならないもん。前も背中にゴミがついてるって言って、僕の毛をむしってきたし」
三体が何もいえないでいると、竜が気がついたように言った。
「まだ自己紹介してなかったっけ。僕は青龍の青瑠。で、彼は白虎の白冷君」
シュガー達も簡単に自己紹介をした。
「ところで、青龍とか白虎って何チャオか?」
「んとね、一族の名前。代々山とか守ってるの。気さくな人が多いけど、朱那君は気位が高いんだよね・・・」
「朱那?」
「朱雀の朱那君。ぱっとみはただの赤いおっきな鳥だけど、気取ってるの。・・・どうしたの白君、そんなにあわてて。え、後ろ?」
青瑠は白冷に言われたとおり後ろを向いた。すると――
「あ、朱那君。どうしたの?」
「どうしたのじゃないだろう、青瑠。もうこんな時間だ」
朱那は空を指さした。空は赤く染まっていた。
「ホントだ。もう外遊びは終わりの時間だね。シュガー君達は、これからどうするの?近くの町まではかなりかかると思うんだけど。・・・そうだ、ここに泊まっていかない?大丈夫だよ、場所はあるから」
シュガーは少し悩んで、泊めてもらうことにした。
「わぁい。久しぶりのお客さんだ!最近旅をする人とかが少ないからあんまし外の人と話をする機会がなかったんだ。シュガー君達はたくさん旅をしたんだよね、話を聞かせてよ!」
「・・・そういえば、前に誰かが泊まったのは、玄雷が連れてきた友人だったっけ」
白冷がそうつぶやいた。
トメルコトガデキルモノ