gillside~その3・犠牲~
まず最初にどうするか。それが一番の問題だった。まずは真っ直ぐ西に行ってみることにした。しばらく何もなかったが、ある程度行くと、都よりは小さいがけっこう大きな人やチャオのすんでいる場所があった。ギル達は其処を攻撃することを決めた。
「僕のキメラ達をひどい目に遭わせたら・・・殺すよ?」
「モルフォ、キメラ達は掃討部隊だ。たぶん誰も反撃できない」
ジャックルはモルフォをいさめた。モルフォは本当はパフィ・モルフォンという名前だが、皆モルフォと呼んでいた。何となく外見が蝶か蛾のようだからだ。モルフォはキメラ達を本当にかわいがっている。さすが、動物好き、という感じだ。
「じゃあ、僕は向こうの川でキメラ達に水を飲ませてくるから。あそこは頼んだよ」
モルフォはそういうと、キメラ達をつれて近くの川にむかった。
ギル達は其処を破壊すために一度中にはいることにした。内側から破壊するためだ。ギル達は黒いフード付きのマントを着て中に入っていった。
中に入って最初の印象は人が異様に多いということだった。ギル達は、そんなにたくさんの人たちの中を移動するのは初めてだった。そして因縁をつけられた。
しかしギル達はそれを無視した。するとそれらは怒り、刃物を持ち出した。するといつも暗く目立たないマムゥにジャックルがあいつらをどうにかしてくれと頼んだ。ギルが切れるといけないので。刃物が苦手だから。
マムゥはそれを引き受け、
「お前達に私達を襲う権利はない」
そういってつや紫色の長い手をつきだした。手には何か黒い者が集まっていた。
マムゥは短く呪いの言葉を吐き捨てるようにいうとその黒い者達を解き放った。黒い者達はそれらを襲った。それと同時に周りに混乱が広がった。それにマムゥが反応し、またマムゥと同じ力を持つテイルも反応した。マムゥとテイルの目つきが変わる。テイルはヒーロー目なのがダーク目に変わった。マムゥの目つきは悪くなる。二人とも操る力は混沌。そして同時に混乱も彼らのエネルギーになった。マムゥとテイルの力が肥大し、混乱はますます広がった。
落ち着いてそれを観察していたギルはいった。
「マムゥ、テイル、それぐらいにしておきなさい。それ以上は今はしてはいけません」
マムゥとテイルは小さく頷いた。そして周りの混乱を吸収するのをやめた。すると、クロウズが手を大きく上下に振った。周りの混乱が収まり、其処は普段の姿に戻った。マムゥとテイルの目つきも元に戻る。ただ一つ変わっているのは、ギル達に因縁をつけてきた者達が消えていることだけだった。
「ここの中心は・・・あの辺りか・・・・この調子だとしばらくかかりそうだな・・・」 ジャックルはそうつぶやいた。
ギルもつぶやく。
「風の力を持っているのはモルフォだけですしね・・・・」
「私の力を使うか?」
クロウズがいうが、ギルは首を横に振った。
「いいや。だいたいどういうふうに使うつもりですか?」
「もちろんあそこまでだーっと邪魔なモノを退かすのさ。あたりまえだろう?」
クロウズは邪悪な笑みを見せた。
「それは当たり前と言わないぞ、クロウズ」
ジャックルがつっこむがクロウズはすでにそれを始めていた。
クロウズの手に何かが集まっていく。
ギルが静かにいった。
「クロウズ・・・それ以上やると・・・けしますよ?」
そして睨みつけた。
クロウズはため息をついて手に何かを集めるのをやめた。
「冗談に決まってるだろ?まったく、冗談の通じない奴ばっかだねえ」
「今は冗談を言っているときではありませんよ。それを分かっていますか?」
「はいはい・・・」
そんなやりとりの後、ギル達はまた歩き出した。
彼らが、目撃され、混乱を引き起こした約二時間後、其処は廃墟になった。
今、其処はキメラ達が繁殖し、他の生き物は近づけない場所になっている。
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カレラニソノキガアロウトナカロウト