usuallside~その3・旅立ち~
そのチャオ、ユージャルは空を見つめて丘の上に座っていた。後ろから赤いシャドウチャオが近づいてくる。チャイルだ。
「ユージャル、これからどうするんだ?・・・ネイトのこと」
「・・・・・あいつら・・・村を破壊していった。・・・いや・・・キメラ達を残していっただけだけど、さ。実際には」
「どうするんだよ。村には・・・もう・・・・」
村にはもう危険すぎて戻れなかった。キメラ達が大量に繁殖していたのだ。村からでていく気配はなさそうだった。
「旅に出ようか?」
「旅?そんなの危険すぎるだろ!」
「でも、もうここで生きていくことはできない」
「あいつらをやっつければ・・・」
「無理だ。だいたいどうやってここまで来たか覚えてない。お前もだろ?」
「まあな。でも――」
「でも、は無しだ。それ以外に方法が思いつかない」
「どうやって身を守るんだよ」
「とりあえず、はこれだな」
ユージャルは木刀と木製のナイフを取り出した。
「・・・どうしたんだ?これ・・・・」
「落ちてたんだ。包丁で戦うわけにも行かないだろ?お前。それに木刀は扱ったことあるだろ」
「お前・・・木製のナイフで戦う気か?猛獣と」
「ナイフならある程度は扱ったことあるからな。それに、猛獣が来たら逃げる」
「そういやお前・・・強盗をナイフで蹴散らしたことがあったっけ・・・・」
ユージャルにそういう伝説があったことを今まで忘れていたことに気がついたチャイルであった。
ユージュアルは不服そうにいった。
「蹴散らした?あれでも押さえてたんだぞ?さすがに殺しはやりたくなかったし」
「相手人間だったなそういや・・・・・」
チャイルはぶるっと震えて思いだしたように言った。そしてユージュアルに短剣を持たせて敵にしたら危険だろうな、と思った。そして続ける。
「いつも冷静なお前にしては周りが真っ赤になってたし」
「相手が三人もいるのにそう上手く手加減できるわけないだろ」
後日その三人は病院送りになったらしい。
「・・・・・なんの話してたんだっけ?・・・・え~と・・・旅に出るかって話だっけ・・・行くか」
チャイルは、たぶんユージャルなら猛獣も熨してしまうに違いないと思った。
「いっとくけど僕は生物たちと戦う気はないからな」
二人の間に沈黙が流れた。
「・・・やっぱやめにしないか?」
「だめだ」
とにかく二人は旅に出ることになったのだ。
…………………
タビハハジマル