gillside~その1・研究所(後)~
トイの意識が戻ったとき、『仲間』達に囲まれていた。トイが頭を押さえて起きあがると、リークが話しかけてきた。
「トイ、なんてことをしたんだ。いくら人間がにくいからといって・・・」
トイは周りを見渡した。周囲はがれきの山だった。
「え・・・?どういう・・・こと・・なんだ?」
トイが訳も分からず混乱していると、フィーサが状況を説明し始めた。
「リークのいうことはむしておいてくれ。トイ、お前はドラゴンに変身して研究所を破壊したんだ。助かったのはお前と俺と、みんな入れて13人だけだ。他の奴らはみんな・・・死んでしまった。キメラ達は助かったみたいだが」
「ボク達は・・・これからどうするチャオ?」
「フィーヤ、気をしっかりもてっ!」
フィーヤが倒れそうになったのをフィーロがあわてて支えた。
「弱虫フィーヤ♪」
リークがフィーヤをからかった。いつものトイなら「イジワルリーク♪」とからかうところだが、今はその元気がなかった。
フィーサがリークを諭した、そしてみんなに聞こえるよう、やや大きい声でいった。
「今からどうするかを考える前に、とりあえず移動しよう。」
フィーサは指笛を吹いた。するとキメラ達が集まってきた。キメラの一体の首の辺りかと思われるところをなでながらいう。
「彼らに乗せていってもらって海を越えよう。そしてどこか住めそうな島を探すんだ。そして、今までの名前を捨てて一からやり直そう」
トイには、フィーサの言葉はもっともに聞こえた。人間達につけられたのは機械的な名前だ。トイ達はその読み方を変えてお互いに呼んでいるに過ぎない。
トイ達はそれぞれ、キメラ達に乗せてもらい、移動の最中に自身の名前を決めることにした。キメラ達は大空に飛び立った。しかし、みんな研究所の外には出たことがなかった。 リークの勘で南の方に行くことにした。しばらく飛んでいくと、大きな都があった。其処はぎらぎらと光っていた。自分たちが空腹だということに気がついたトイ達は、都に降り立った。其処にはたくさんの人やチャオやら生き物やらがいた。
其処の人間やらチャオやら動物やらはトイ達をじろじろ見た。そして、トイ達は周りを見渡して気がついた。『自分たちと同じ、いや、似たような姿をしたチャオがいない』のだ。もちろんキメラ達に似た生き物も、である。トイはまっわりの目に絶えられなくなり・・・意識がなくなった。
フィーサの声が聞こえた気がした。
そしてその都と住人達はは世界から消えた。
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ソレヲトメルコトハデキナイ