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何も考えないように、後ろを振り向かないように。レナルドは一歩一歩踏みしめて前に進んだ。
親友だからなんなのか確かめてもよかった。だが、親友だからこそわかることがある。
アレックスは気が強い。どんなに酷いものを見ても、平気なはずだ。
そして、騙すことは絶対にしない。
それに加えて、謎のうめき声だ。もはやアレックスのものとは言えないような、そんな低い声。
ピチャピチャと音がしたようにも思えた。確実に、一つ一つの証拠が何かを示している。
辺りはもう暗い。どんどん、加速していく。
歩きながら、何かを考えた。
「チャオには稀に、能力を持つものがいる」ということを。

能力とは言っても、他の人と極端に違うもののことだ。
翼が生えたり、触覚が生えたり。小動物やカオスドライブがそれにあたる。
昔、こんな事件があった。
「翼の生えたダークチャオが上空から火を吐き、都市を壊滅に至らせた」
大きな事件であった。辺りには発砲音が物凄い勢いで鳴り響いたという。
そういう能力とは違うだろうが、これも一種のものであると自己解決をした。
恐怖に怯えながらも、レナルドは家に向かった。月明かりが無い。街灯を頼りに、進んでいった。
まだ警告は鳴り響いている。どんどん早歩きになる。
しばらくして、家にたどり着いた。
家の鍵を開ける。
レナルド「ただいま…」
小さく言うと、そのまま自室に入った。
電気を付け、カーテンを閉め切った。恐怖に襲われている。全て、自分の感情。
そうだと知りつつも、レナルドは家についた安心感で安定させようとした。
安心し、家族がまだ帰っていない家をうろついた。風呂を沸かし、早めに寝ようとした。

ピンポーン

誰かが帰ってきたようだ。流石にこの時間に配達は無いだろう。
勢いよくドアに走って、ドアを開ける。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第217号
ページ番号
6 / 10
この作品について
タイトル
「後ろを振り向いてはいけない」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第217号