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話を聞くと、アレックスは切符を買って改札口を通り、既に到着している電車に乗り込もうとしたところで事故に気付いたらしい。
人だかりができていて、何かと知りたがる野次馬魂が働いたのか、すぐに原因はわかった。
殺人事件だ。
とは言うのも、状況がよく分からなかったらしい。
線路の上に1人、血も何も出ていない無傷の男が1人横になっていて、そのすぐ近くのホームに血だらけの女が1人仰向けになっていたという。
どちらも成人。ヒーローチャオだったそうだ。
性格が良くてヒーローになったのは丸分かりだが、その後で性格が変化することもある。
喧嘩になったのかは知らないが、そんな感じで電車が止まった。
他の駅の乗客にも迷惑がかかるし、すぐにでも発進させるべきだった。
だが、異変はそこにあった。
レナルド「誰も線路の男に近づけない?」
アレックス「そうなんだ。近づこうとして、手を伸ばすと男の向こう側に手が伸びるんだよ」
レナルド「よくわからない。ちょっと絵にしてみてくれよ」
アレックスは言われるがままに、黒板の前にレナルドと移動した。
白色のチョークを取ったアレックスは黒板に簡単な状況を描きだした。
真っ先に円を描いた。その下に「男」と描いた。わかるっつーの。
そして、円を通るように縦にあみだくじのような線を引いた。線路だろうか。
向かって左側にホームのような長方形を描き、そこには円の中を乱暴に塗った円を描いた。
アレックス「大体こんな感じだな」
レナルド「肝心の近づけないってのはどう説明するんだ?」
アレックスはそういわれると、ホームと男の円の間に線を一本引いた。
そして、その反対側に線を引き、手と思われる丸を描いたのである。