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ポカポカ陽気のチャオガーデンに、ユニコーンがいました。ユニコーンは今、チャオを待っています。
チャオは今、チャオレースに挑戦中です。レースが終わり帰ってくるのを、ユニコーンは待っています。
そして、待つこと十数分。
「チャオ~…」
レースを終えたチャオが帰ってきました。でも、あまり元気がありません、
肩を落として帰ってきたチャオに、ユニコーンは尋ねます。
「どうしたの?」
チャオは答えました。
「今日のレースもびりっけつだったチャオ~…。何回やっても勝てないチャオ~…」
チャオは、いつまで経ってもレースの順位が上がらないので、落ち込んでしまっているようです。
ユニコーンは、目の前でため息をつくチャオに、言いました。
「――速く、走りたいかい?」
「え…」
チャオは、うつむいていた顔を上げ、ユニコーンの顔を見ます。
今までとても優しかったユニコーンの目が、とても険しく、真剣な眼差しとなって、チャオを見ています。
「もっと速く、走れるようになりたいかい?」
ユニコーンは、もう一度聞きました。チャオの答えは…
「…もっと、速く走れるようになりたいチャオ!」
チャオの答えは…ユニコーンの求めていた答えでした。
「そうか…。なら、ボクの力を、キミに授けよう」
「ユー君の…力?」
「そうだよ。ボクの言うとおりにするんだ。ボクの角に、手を触れてごらん」
チャオは、言われたとおりに、ユニコーンの頭の先についている角に、手を触れました。すると…
「ち、チャオ?」
キラキラと輝く、眩い光の柱に、チャオとユニコーンは包まれました。
光の柱は天高く伸びていき、やがてゆっくりと収束していき、そして消えていきました。
光の柱が消えた時、その中心部にいたはずのユニコーンが、いなくなっていました。
「チャオ~…、何が起きたチャオ~?」
しばらく、あまりの眩しさで目を開けられなかったチャオですが、しばらく経ってから目を開けると、
「…チャオ!?」
目の前にいたはずのユニコーンが、いなくなっていることに気がつきました。
辺りを見回し、名前を呼びかけても見つかりません。
一大事と感じたチャオは、困った時に頼りになる、チャオ幼稚園の園長先生への元へと急いで駆けていくのでした。
チャオが大地を力強く蹴るたびに、頭に生えている、つい先ほどまではなかった立派なたてがみが揺れるのですが、そのコトにチャオは、全く気づかないのでした。