第3話

月夜と少女とチャオと 第3話


彼女は、いつものようにガーデンで戯れる。

朝起きて、食事だけ済ませたらすぐにスイッチをつける。
太陽が真上に昇ったところで一休み。
外に出て買い物。
戻ったらすぐに再開。

そんな日々に、何の疑問も持たずに過ぎていた。
チャオに出会う前が、そうだったように・・・


暖かい、5月のある日。

窓が南向きにあり、南は公園なので、夏なんかは地獄と化すが、冬は過ごしやすい。
もっとも、夏はカーテンを閉め切りエアコンを全開にしているので、問題ないが。

いつものように買い物に出て、家に帰り、スイッチを再びつけた。

太陽がうまい具合に部屋に差し込む。

騒がしいのが嫌いな彼女は、チャオをあまり増やさずに、1つのガーデンに集めていた。

そんなこんなで、時間は経つ。


1匹のチャオが歌を歌い終わり、周りのチャオが拍手した。
そして、皆思い思いの方向に走り出していった。

その様子を見て、微笑む。

しかし、その後に特に何も起こる様子はない。


そのうち・・・・・つい・・・・・
5月の陽気に誘われて・・・・・・・・・




「・・・・!!??」

ようやく目を覚ましたが、テレビがついている以外は真っ暗である。
慌てて外を見る。
闇の中に、大きな満月が見えた。

続いて時計を見る。


0:25


・・・・やってしまった。
真夜中である。


暫くの沈黙の後、ようやく彼女にとって一番重大な事に気が付いた。

チャオガーデン。

しかし、時既に遅し。

最後の灰色の繭が儚く消える、その瞬間だった。



・・・それを見たすぐ後に、彼女は倒れた。
薄らぐ意識。



・・・再び彼女が目を覚ました。

「・・・ここは・・・!」

目の前には、星降る夜。

唯一過去の記憶で残っているもの。


地平線に目をやると、兄妹らしき2人が座っている。


その瞬間、過去の記憶が蘇った。
消えたのではなく、しまわれていた記憶が。

「あれは・・・・私・・・・!!」


「お兄ちゃん、大きくなったら何になりたい?」
「そうだなぁ、有名になって、お金持ちになりたいな。 そういう茜は?」
「わたしはねー、・・・・・・・」

そこで意識がまた薄らいだ。



気が付くと、現在に戻っていた。

時間は・・・・今度は数分しか経っていない。

彼女はある決意を固めると、ゲームのスイッチを切り、寝床に入った。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第13号
ページ番号
3 / 4
この作品について
タイトル
月夜と少女とチャオと
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第5号
最終掲載
週刊チャオ第14号
連載期間
約2ヵ月5日