何をしよう?どこへ行こう?
あの戦闘の翌日。
目を覚まし、いつものようにリビングへ行くと荷物をまとめているディラさんがいた。
「もう出て行ってしまうのか?」
俺はそう尋ねた。
彼はこれ以上迷惑をかけることができない と微笑みながらうなずいた。
後から遅れてきたパラディやレアやシェアも引きとめようとしたが彼の意思は固く、首を横に振ることはなかった。
「ミディさん」
出て行く直前、そう言ってディラさんは俺に皮製の袋を手渡してきた。
それは・・・暴風雨の夜に拾った石の入った袋である。
それだけを渡し彼は去っていった。
ぼろぼろのローブが風に揺られ、やがて見えなくなっていくのを俺達はずっと眺めていた・・・
ディラさんと別れてからもう三日もたった。
あの日を境に賊から狙われることもなくなり、いつもと変わらない生活に戻りつつあった。
ただ・・・
シェア「入るわよ~!」
パラディ「お邪魔します」
この家に必ず四人集まることは以前とは変わっていた。
武器を肌身離さず持ち歩くことも。
いつもなら外へと遊びに行っている時間も、ただ家で待機している必要があった。
その理由は二つある。
まず第一にこの家ほど安全な場所はない。
ほぼ常にこの家は軍人さんが見回りを続けてくれている。
軍人に手を出せばどうなるかは・・・馬鹿でも分かる。
とりあえず賊はここにいる限り手を出せないのだ。
そしてもう一つの理由は・・・
シェア「で!何なの? 置手紙に書かれていた事って?」
置手紙・・・石が入っている袋の中にあった手紙である。
ディラさんが書き残していった内容。
いったい何が書かれているのだろうか・・・
まだ内容は俺も読んでいない。
四人揃っていることだし、読んでみるか。
ミディ「じゃあ読むぞ。 皆様へ・・・」
ろくに感謝の言葉も無いまま去った事、お許し下さい。
しかし私には時間がありません。
少しでも早く連中の目を私に向けさせる為です。
私がここを去った事を知ればすぐにでも賊は私の後を追ってこの地から離れると思います。
次期に警備も不要となるでしょう・・・
そしてこの手紙を見つけたときに一緒に入っていたこの石、
この石を求めて追ってくる人たちがいます。
その方達は、必ずや貴方達の味方となってくれます。
この石の事に詳しい彼等なら残した石と共にある疑問も全て解決してくれる事でしょう。
ミディ「ディラより・・・・か。」
シェア「石ってあの石の事ね!」
ディラさんが出て行ってすぐにシェアとパラディに石の事を話した。
自分達にも分からない事が多くて・・・・見たこと 感じた事をそのまま伝えただけだ。
パラディ「ここにやってくる・・・かぁ・・・」
レア「これだけじゃあ全くわかんないよぉ・・・」
レアの言うとおりその人たちが来ない限り、何も行動がとれないのだ。
いつ来るかわからない人を待つ・・・
考えようにもその人達が来ない間は隙間を埋めるパズルのピース自体がない事と同じ・・・
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沈黙は続いた。
レア「ね~え~」
十五分程経って、レアが沈黙を破った。
レア「皆で遊びに行こうよ?」
唐突に出たのがこの台詞。
この状況で何を言い出すかと・・・・・
パラディ「駄目だよ!」
シェア「流石に今回は遊びに行く気になれないわよ・・・」
ミディ「いや・・・レアに賛成!遊びに行こう!」
二人が驚いたようにこちらを見てくる。
普段ならレアの行動のブレーキ役なのだが・・・
ミディ「このまま何もする事が無いんだ、たまには息抜きだって必要だろ?」
レア「そうだよ!それに街だったら人もたくさんだし襲われたりしないよ!」
パラディ「そっか!!」
シェア「そうね!でもちゃんと・・・」
ミディ「そりゃ用心に武器は持って行くぜ?後は固まって行く事だろうな・・・」
シェア「二人の案に賛成~!」
パラディ「僕も!」
みんなの顔にいつもの笑顔が戻ってきた。
レアのおかげだな・・・
そして皆、荷物を手に取るや急いで外へと飛び出していった。