ANOTHER REPORT 【1】
随分遠いところまできた・・・・
一年・・いや二年程前はこんな問いかけなんてしなかっただろう。
いや、したところで当時の無知な私は気にも留めていないだけだ・・
学問を解く事が私に出来る最善の事。
それを信じて疑わなかった。
学問の頂上まで上り詰めた自分がここまでの無知だったとは・・・思い返すだけで歯がゆい気分だ。
今は追われている事を気にしなくていい、振り返りたい。
私が今まで何をしてきたのかを・・・
組織から私にある命令が下った。
命令と同時に渡された本。
年季の入った表紙には「伝説」と記されていた。
こんな空想まがいなものを学者に頼むなんてどうかしている・・・
私は学者である、神や伝説等は信じない。
しかしこれも命令である・・・
しぶしぶと言われたとおりの作業を進めていく毎日。
そこにそれ以上も以下もなく・・・
大量に揃った資料、そして優秀な部下達のおかげで二週間で仕事があらかた片付いた。やり遂げてみるとなんともむなしいものであった。
伝説はただのおとぎ話・・・
これが結論だった。
竜が飛んだり、神が洪水を起こしたり・・・そんな記録、事実はない。
ため息混じりで結果報告のレポートを作っている最中あるものに目を止めた。
それは・・・
「御主人様(マスター)!」
おっと・・・。
どうやらこの走り書きで残すメモも今日はここで終わりらしい。
またこうして言葉を残せる時間を得たいものだ。