第6章 とてもとっても長い一日 4
「いただきま~す!」
さて味の方は・・・?と口を開けるのではなくできる限り相手の反応から読み取る事にする。
特にあのサムライとか、ニァの反応が気になって仕方がない。
それにあのサムライにとって気に食わない味だったらそれこそ・・・・・・
「斬り捨てる!」とかなりそうだしな。
自分の料理を食べながらも目では二人の顔を見ていた。気づかれないようにしていたのは言うまでもない。
サムライがまず慣れない手付きでフォークにスパゲティを巻きつけつつ食べる。
見よう見まねで周りの真似するも食べづらいのか不機嫌そうだ。こっちとしては味が良いのか悪いのか、判断の材料が乏しくなる 迷惑な奴だ。
ニァの方も・・・またわかりにくい。
サムライ「ほぅ・・・悪くはないな。」
ニァ「悪いニャくてうまいニャ!」
その返事を聞き心の中でそっと胸を撫で下ろした。どうやら気に入らない物ではないらしい。今の結果を後押しするように次々と会話が飛び交うのだった。
パラディ「まずいわけないよ、なんたってミディの手料理だよ?」
レア「そぉそぉ!これだけは私だって勝てないんだもん!」
リンネ「しかしすごいですよね。」
サムライ「料理の腕はたいした物だ。」
シェア「本当にそれだけしかないのよね」
ミディ「うっ・・・。とにかくこれからどうする?」
まぁ料理は気に入られたと考えてもいい。シェアには何故か嫌われているし疲れるなぁ・・・。いや、それよりもこれからどうしていくのか、とにかく安全に過ごしていく為に平和な生活を続ける為に元の生活に戻る為の一手をどうするか。
サムライ「無い、好きに過ごせばいい」
えっ。耳がおかしくなったらしいもう一回聞こう。
ミディ「あの・・」
サムライ「くどい」
ミディ「それじゃあ、自由に遊んでいいってことか?」
サムライ「その通りだ」
この声を聞いた瞬間、雲の子を散らすように各々が席を立ち、離れていった。
皆、食べ終えた食器はそのままにして。
とりあえず洗い物か・・・。俺だけ皆と比べて十分近く出遅れた。
【リビング】
片付け終えたテーブルの周りはものの5分の間に散らかっていた。
丸いテーブルにかけてあるシーツは無造作に床に放られていて代わりに浮き彫りになっている木目の上には人数分に分けられ、重ねられたトランプが置いてあった。
レア、パラディ、シェア、ニァの丁度四人分。
各自がトランプを一枚引くや、そのまま自分のカードを見ずにおでこへとはりつける。
そうして合図を元に一斉がテーブルにカードをたたきつけた。
ミディ「何の遊び?」
パラディ「【インディアンポーカー】っていうゲームだよ」
レア「こうしてね、カードを自分で見ないようにとって・・・」
ニァ「相手の数を見て自分が勝つか負けるか決めるニャ!」
ミディ「勝つって?」
ニァ「数字が高いのが勝ちニャ」
レア「負けそうなら降りる事もできて~」
パラディ「自分の数字が分からないからそこを読むってゲームさ」
ミディ「なるほど・・・」
レア「ねぇ!お兄ちゃんもやろ!」
ニァ「そうニャ!どうせ暇なんニャから!」
ミディ「いや・・今はいい、遠慮しとく」
このにぎやかでうるさい雰囲気には到底追いつかないだろうな。
この場に居づらい感覚というものを肌で感じ取る。
しかし実際のところ本当に居づらい原因となっているのは・・・。
視線だけで追う事も、到底無理だ。
理由はどうあれ、結局はそそくさとこの場を離れていた。
周りから見られていたらとても変に見えていただろう。