第6章 とてもとっても長い一日 3
ミディ「本当にすごいな・・」
どこからみても傷一つ無く健康な身体と称するにふさわしい。
しかしここまで完璧に治ってしまえば不器用でいつはがれるかわからない絆創膏や、所々丸まっている包帯がもったいなく思えてくる。
パラディ位のお金持ちにでもなればこんな事気にもならないだろうな。
シェア「・・・」
ミディ「どうしたんだよ?」
シェア「・・・はぁ・・・・」
浮かない表情と重い溜息。
俺にはその理由まではわからないけどどこか不満となる点があるのだろう、そこまでは察することができた。このまま放っておくべきだろうか?
気にする事のない程度の問題かもしれないがこのまま放っておくのも後味が悪いな。
そういう考えに至りシェアに再度話しかける。
ミディ「・・・・大丈夫か?」
シェア「・・・何ともないわよ」
ミディ「何ともない事ないだろ」
シェア「・・・もう遅い・・・」
ミディ「あ・・・・悪い。包帯とか・・・無駄に使っちゃったな、お前からもらったのに・・・」
直後強烈なビンタが俺の頬に飛んできた。
訳のわからないままシェアの説教を聞くはめになる。
シェア「そうじゃない!あたしが怒ってるのは!」
ミディ「・・・のは?」
シェア「怒ってるのは・・・・・・もういい!さっさとご飯の支度して!」
ミディ「は? ちょっと待てって!」
明らかに言いかけた途中でやめてしまった事はわかるのだがそれより先の事は分からないままだ。とにかく言われた通り先に昼食の準備を済ませてしまおう。
皆に追いつくように駆け足で自宅に戻るのだった。
家に着いたらすぐに台所へと足を運ぶ。
食材は丁度人数ピッタシという所だろうか、俺、パラディ、シェア、レア、リンネさんにサムライ、ニァ。七人分の料理なんてのは今まで経験したことがないから少し緊張するけどいつも通りやればそっちは問題ないはずだ。
それより問題は・・・食材の種類が偏ってるんだよなぁ・・・
真っ白とは言いがたいまな板の上にはこの家に集っている人数分以上のトマトが転がっている。まな板の隅から転がり落ちている物だけでも相当な量、しかしこれだけで皆が満足する様なレシピは生憎思い浮かばない。
かといってケチャップそのまま出したら・・・脳裏に浮かぶは惨状のみ・・・。
トマトから視線を外せばパスタが丁度人数分、卵がその倍の量といったところだろうか。
タマゴがあるからケチャップを使ってオムレツにして、後はミートソーススパゲティといこう。
幸い調味料やタマネギやら最低限の材料は揃っているからなんとか乗り越えられるだろう。