第4章　フシギなフシギな光る石4

いきなり「石をよこせ」って言うのはいいとして･･･
まずその武器を･･･
ミディ「振り回すな！」
いきなり武器を抜くやこっちに向かって斬りつけようとしてくる。
相手はまだ手を抜いているけど･･･本気だな。

「余裕だな」

ミディ「おわぁ！」
さっきまで相手のリーチ外にいたはずなのにあっという間に近づかれている！
この距離は近い･･･いける！
相手が近づいてくるっていうなら･･･
俺も思いっきり前へと飛び出してやる。
「！？」

ミディ「これはどうだ！」
相手と一瞬交差する。
今の手応え･･･少しは効いたか？
振り返ってみると相手は背中に背負っていた鞘を左手に握っていた。
真っ黒な鞘に白い傷が斜めに入っている事から今の一撃を鞘で防いだのだろう。
いや･･･かすかに腰辺りを負傷している！
傷は浅いけど傷を貰う事自体が予想外だろう

「まるっきり素人という訳ではなさそうだな･･･」

ミディ「小さい頃から訓練だけは欠かしてないからな」

「そうか･･･」
そういい終えた後、戦闘を再開する。
先程と違う事は剣と鞘の二刀流である事。
おまけにさっきの間合いを詰める速さといい･･･あれ？

―あいつ動かない？
さっきからずっと同じ場所に立っている。
武器を構えるどころか敵の目の前で鞘に収めてしまった。

ミディ「･･･何のつもりだ？」
問いただしてみても相手は答える気配がない。
剣を収めた鞘を腰の辺りにぶら下げているだけだ。
いったい何がしたいんだ？
頭の中でそう疑問が浮かぶ。
それを口に出そうとした時だ。

「突撃する事だけが戦いの全てではない」
いきなり何を言い出す？

「それを知らないからお前は弱い」
その言葉は俺を怒らせるのに充分だった。
かすり傷を負っている奴に言われたら腹が立つ

ミディ「なら･･･確かめてやる！」
俺に背を向けて去ろうとする奴に俺は突進していく。
あの背中が妙にイライラしてたまらない。
いつもの俺なら普通に流せるものなのに･･まぁ関係ねぇ！

ミディ「くらえ！！」
その瞬間だった。
あまりにも早くて何が起きたかわからなかった。
ただ衝撃が腹を中心に、ジワリジワリと響いて･･･
あまりの衝撃で武器から手を離してしまう。

ミディ「な･･･」

「やはり弱い･･･何をされたかわからない顔だな」
むせながらも落とした武器を拾う。
焦点が定まらない状態で相手の姿を探す。
どこ？　何処だ･･･？

「これが攻撃だ」
背後からの声。
そしてそれを合図に怒濤の猛攻が始まった。
目にも止まらぬような斬撃の嵐。
見切れはしないが、ただ剣を構えて致命傷を避ける。
必死で防戦するが相手の顔にはどこか余裕さえ見える。

ミディ「あっ！！」
一撃が剣を宙へと舞い上げた。
空に弧を描いて、遠くの土に刺さる。

「お前の負けだ」
眼前に突きつけられる刃。
防げないし、逃げられない！

殺られる････