二章 ぼろぼろローブの来訪者6

とはいえ・・・敵の方が俺達より何人も多い。
しかも目的がディラさんの確保となると、相手の動きもわかる。
二、三人がこちらへと猛突進をしてくる。
突撃した奴等が時間を稼いでいる間に残りの人数が俺達をとり囲む。
わかってはいるものの、防げない。
これほど辛いものはないな・・・

突進してきた内の二人はパラディが、一人はレアが食い止める。
パラディは剣と盾をたくみに操って二人を相手にしているが辛そうだ。

―少し持ってくれよ・・・すぐ助けるから!

ミディ「レア!どけぇ!!」
妹を突き飛ばす。
強引に相手を変えられた敵は戸惑いから隙がうまれた。
そこを躊躇なく攻撃を叩き込む。
そしてすぐさま標的を変える。
二人がかりでパラディを襲っている奴らに。

パラディも今は耐えているが、更に耐え続けるのは辛そうだ。
一気に二人とも黙らしてやる!

相手は餌を前にした獣みたいだ。
目の前の敵に必死で喰らいついている

ミディ「くらえ!」
横からおもいっきり体当たりをする。
攻撃を何度も何度も盾で防がれていた連中には苛立ってつい前かがみの姿勢をとっていた。
横からの衝撃に耐え切れず二人ともドミノみたいに倒れこむ。

その後パラディが盾で一発ずつ叩きつけた。
相手はたいした外傷もなくのびている。
こんな状況でもパラディの優しさが表れて・・・

ミディ「!! 逃げろパラディ!」

パラディ「・・・え?」
気絶にはまだまだ甘かったらしい。
一人は後頭部にコブを作っただけで、戦意はむしろ倍増していた。
「なめやがって!!」
怒りに満ちた一撃をパラディに向かって放つ。

レア「ええええい!」
危機を救ってくれたのは先程突き飛ばしたレアだった。
背後からの一閃で相手は動かなくなってしまう。
その光景には少し驚いた。
まぁ・・・一番驚いているのはまぎれもなくパラディ本人だが。

レア「大丈夫?」

パラディ「あ・・・・ありがと・・・」
少し頬が赤くなっていた。
心配してもらっている事に照れているのかな・・・



「ガキだけでよくきばったな・・・しかしこの状況をよく見やがれ!」
奴等の作戦は成功してしまった。
俺達を完全に包囲。
一人でもきついのに四人も一斉には逃げ切れるわけがない。

じりじりと俺達の周りの輪が狭まっていく。
一歩、一歩と近づいてくる奴等の足取りを止められない・・・

ディラ「この子達は関係ない! 連れて行くなら私を連れて行け!」

「・・・そりゃねぇよ~これだけ暴れられてハイ そうですか とはいかねぇなぁ」

「あぁそうだな!それにこいつら三人を殺すなんてわけねぇよ」

俺以外の三人の表情が不安で曇っていく・・・
三人も周りの連中もこの状況を覆せる事ができないとわかったのだ。
今からジワジワと殺されるのか・・・・
本当になす術がない・・・?
いや・・・

ミディ「おい!」
敵、味方の両方の視線が俺に来る。
賊共はあざけり笑うように、三人は不安そうな顔でこっちを見ている。

ミディ「お前等って学がねぇよな!数も数えられないなんてよ」

「何だとぉ!?」

ミディ「だってそうだろ? 学も無い馬鹿だから賊にしかなれないんだろ?」

「ふざけやがって・・・!」

ミディ「じゃあもう一回数えてみろ!俺達の人数を!」
その場で沈黙が流れた・・・
皆数えているな・・・
やっぱり腑に落ちない顔ばかりしてやがる・・・

ミディ「じゃあ数えるぞ! 一人・・・」

パラディ「二人・・・」

レア「私で三・・・・・・」

ディラ「自分で四人目・・・・・」

「・・・馬鹿め!間違えてるのはお前達だ!」

ミディ「そうか?俺には四人ではないとおもうぜ・・・」

周りの連中は・・・俺が今やっている事を・・・・・
最後の足掻きだと笑いながら聞いているだろうな。
・・・昔・・・本で見た中には・・こう書かれていたっけ・・・
「試合であれ、戦闘であれ・・・最も警戒すべき時は皆が勝利に確信した瞬間。
平常時には難なく気づいてた些細な兆しもその時だけは見逃してしまう。
そしてその瞬間は・・・舞台が盛り上がるここ一番の見せ場でもある。」

「いったい何人か教えろよ!」
その時だ。
さっきまでサンサンと降り注いでた太陽の光が厚い雲によって遮られる。
周囲はまるで日食にでもなったかのように真っ暗になった。
突然のことに賊達の動きがあわただしくなってくる。


ミディ「五人だよ!今だ シェア!やれぇぇぇぇ!!」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第284号
ページ番号
14 / 63
この作品について
タイトル
剣と石と・・・
作者
キナコ
初回掲載
週刊チャオ第281号
最終掲載
週刊チャオ第313号
連載期間
約7ヵ月13日