二章 ぼろぼろローブの来訪者4
「こ・・・ここは・・・天国か・・・それとも・・・」
レア「地獄でもないよ♪ ここは家だよ」
お・・・どうやら目を覚ましたようだな。
「家・・・・貴方達は?」
ミディ「あ~ただの一般市民だよ だから・・・うわっ!」
レア「きゃあ!」
衰弱しきっていた素振りも見せずナイフを俺達に振り回してくる。
この様子だと、何か訳ありだとは思うが・・・このままでは危険極まりない。
「雇われた人達か?どっちにせよ貴方達には何も話はしない!」
今の台詞からして絶対訳ありだ。
しかしこれでは事情を聞くどころか・・・
ってかこうして暴れている場所は俺の部屋だよな。
さっさと止めないと・・・
シェア「なぁ~~にしてんのよぉぉぉぉ!!!」
ドアを勢い良く開けるや、コップを思いっきり投げつける。
見事、コップはベットの上で暴れていた人物の顔に命中した。
それでおとなしくなったのはいいが・・・
ミディ「人のベットの上に水入りコップを投げつけるのかよ・・・」
シェア「そうでもしないと危なかったでしょ! 後これね!」
またも勢い良く、次はシチューを差し出してきた。
あいつが作ったらしい・・・意外にもおいしそうに作れてある。
シェア「今から消毒薬とかを取ってくるから!それあげて様子見てて!」
それだけを言い残し、またも慌ただしく姿を消した。
まぁここまでやってくれたら・・・
案の定、相手は状況が理解できずにポケーっとしてる。
ミディ「じゃあこれ食べて落ち着いて」
とりあえずシチューを手渡す。
受け取ると間髪入れずに食べ始めた。
これなら誤解も解けたし、話も聞けるだろう・・・
「はぁ・・ありがとうございます・・・・・・後、先程はすみませんでした。」
レア「気にしなくていいよ!」
ミディ「何故部屋の主でもないお前が言うんだよ?」
「私は・・・・・ディラ。ディラと申します。」
ミディ「ディラさんね・・・俺はミディ。んで横にいるのがパラディ。」
レア「私がレアだよ~よろしくね」
ディラ「この度は私の命を救ってくれて本当にありがとうございます」
俺達にペコペコと土下座をし始めるディラさん。
いったい彼になにがあったのだろうか・・・
パラディ「それよりもディラさん 何か事情でもおありですか?」
事情を尋ねられると、途端に口を閉ざしてしまった。
かなり人にも言いづらい事があるらしい・・・
ディラ「あ・・・のですね・・・」
しばらくしてからだった。
やや下に目線を落としながら、口を開き始めるディラさん。
ディラ「これは!?」
そう叫ぶとベットから床に飛び込んだ。
彼が見つけたのは・・・昨日の宝石の袋。
さっき暴れた時に落としたのか・・・
ディラ「良かった・・・中身も無事・・・あれ!?!」
袋から取り出すや、次は悲鳴混じりの声を上げた。
無色透明の宝石をくるくると色んな角度からのぞきこむ。
何がおかしいのやら・・・
ディラ「あなた・・・これに何かしましたか・・?」
ミディ「いや・・・昨日湖の方で拾っただけだ・・・けど?」
ディラ「拾った・・・だけ?」
ミディ「拾っただけ」
ディラ「拾った・・・?」
俺の説明不足なのか、それともディラさんでもわからない未知の現象なのか・・・
とにかく納得できてないことだけは確かだ。
でも・・・これでわかったことは・・・確実にこの石とディラさん、そして昨日の賊達と何らかの関係がある。
まぁ・・・今は色々と頭の中で考えているのだろう。
話しかけても邪魔になるな・・・
そっと無言で俺はその場を立ち去ろうとした時だった。
ミディ「・・・ん?」