第一章 ピカピカ宝石 雷雲と共に4
ようやく目的地に着いたとき、激しかった風はだいぶ穏やかになっていた。
しかし雨のほうは以前強く降っており、全身びしょ濡れだ。
レアは一足先に湖に浮かべたボートを流れないようにと、すぐ近くの木にくくりつけていた。
しかも近くまで来た時にはもう済ませていた
ミディ「レア・・・お前早いなぁ・・・」
レア「だって大急ぎで走ってきたもん」
ミディ「でもいつボートを湖に浮かべたんだよ?」
レア「お兄ちゃん・・・見てなかったの!?」
ミディ「まぁ夢中だったからな・・・」
レアは怒って頬をふくらませていた。
つっても本当に覚えてないからなぁ・・・
嘘ついて話合わせてもあれだし・・・・・
ミディ「ん?」
一瞬地面が光った・・・?
ぬかるんだ地面を手探りで辺りを調べる。
雨で視界が悪いのでだいたいの場所は分かっているのになかなかみつからな・・・あった!
小さな皮製の袋から光が漏れている。
ミディ「見てみろよ 何か光ってる」
袋の口を逆さにすると光り物が中から転がり落ちた。
レア「珍しいねこれ、 虹色に輝いてる・・・?」
ミディ「本当だな・・・」
その時だ。
ミディ「な・・・何だぁ!?」
レア「きゃぁ!?」
手の上にあった石が突如、さっきよりも眩く輝きだす。
七色の光はびしょびしょに濡れた俺とレアの顔を明るく照らしだした。
そしてその光は石に吸い込まれるように消えていった。
パラディ「ミディ! レア!!」
シェア「さっきの光は何なの?」
レア「あ・・」
ミディ「俺らもわからねぇよ 」
ごまかしながらもばれないように、さっきの石に視線を合わせた。
石は七色どころか無色透明な石に変わっていた。
ミディ「・・・?」
シェア「さっきからどうしたのよ?」
ミディ「なんでもないって!」
何なんだ・・・?これ・・・?
「お前達!」
ミディ「は?」
雨でよく見えないが、向こうから数人やってきていた。
もしかして賊か・・・?
「ここいらで石を見なかったか?」
レア「え?」
「石を見なかったかと聞いている!」
シェア「それって・・・もしかして魔法石の事?」
「おそらくそれだ」
シェア「あんた達もわかるでしょ!魔法石がこんなところに転がってる訳がないじゃない!」
「・・・本当に知らないのか?」
ミディ「あぁ そうだよ!」
「・・・」
相手は納得してくれたらしい 口を閉ざしてくれた
これで帰れそうだな・・・
ミディ「帰るぞ!」
連中に背を向けてさっさと帰宅路へと急ぐ。
雨音は・・・さっきはマシだったのにまた強くなってきた。
早く帰らないと山崩れとかも起きるかもな
レア「お兄ちゃん!危ない!!」
―な!
咄嗟に持っていた短剣で一撃を防いだ。
手が痺れる・・・力はおれなんかよりずっと強い!
危険を感じるや俺は距離を一旦あける。
他の連中もよく見ればぶっそうな武器を手にしている。
「こいつらは極秘の内容に関わった!さっさと始末しな!」
「おー!」
ミディ「シェア・・・逃げれそうか・・?」
そっと相手連中に聞こえないように呟く。
シェア「無理と思う・・・」
ミディ「じゃあパラディ。剣を持ってるか・・・?」
パラディ「あっ・・あるよ!」
それならいけるか・・・
相手は・・・3・・・4人。
ミディ「パラディ!戦うぞ!!」
パラディ「わかった!」