第一章 ピカピカ宝石 雷雲と共に3
シェア「あ~あ。でもまさか先にこれを見られちゃうなんてな~」
ミディ「しかたねぇだろ。ボート作るのって結構大変なんだから。」
シェア「わかってるわよぉ! でもね・・・」
少し落胆した表情になっている。
いつもなら逆切れして強引に進むのがシェアなのになぁ・・・
パラディ「あ・・あのさ、姉さんがピクニックを計画したのはさ、本当は思い出作りの為だったんだよ。」
シェア「あぁ! 馬鹿ぁ!!」
その直後に顔を真っ赤にしたシェアによってパラディが絞め落とされかける。
このことね・・・朝パラディがごまかした事って
レア「もしかして・・・二人とも引っ越すの?」
ミディ「えぇ!!」
次は俺が馬鹿みたいな大声をあげてしまった。
でもそれならシェアが必死になって頼んできた理由もわかる。
ミディ「本当なのか・・・?」
シェア「そうじゃないのよ! ただ・・・これからも一緒って事はないでしょ?」
レア「ぇ?」
シェア「だって・・・今は私達子どもだけど・・・これからは大人になってゆくじゃん。そうなったら今みたいにずっと一緒にはいられないのよ・・・」
パラディ「・・・」
皆黙り込んでしまった。
シェアは今にも泣き出しそうな表情だ。
いつも忘れそうになるけどシェアって結構泣きやすいんだよな・・・
レアがシェアに寄り添ってはげましてくれている。
レアの励ましもあって徐々にシェアの暗くなっていた顔も明るくなってきた。
日が暮れて冷えてきたし、風も吹いてきた
もうそろそろ帰った方がいいかな・・・
ミディ「もう帰ろっか。そっちの家の人たちも心配するからな」
パラディ「そうだね。」
シェア「うん・・・」
ベットで横になった俺は何もない天井を見上げてさっきの事を考えていた。
そうだよな・・・
皆、一緒ってのが一番の理想だけど・・・
いつかはみんな離れていくんだ。
夢や目標に向かってさ。
それでも一生会えないわけではないと思う。
こうして思い出作っていたらさ・・・互いのこと思い出せるし。
二人のこと忘れたりなんか・・・・絶対ねぇよ・・・
俺もレアも・・・。
とりあえず目をつぶってみるもののなかなか夢の世界へとは行けなかった。
俺も別れる事が怖いのかもな・・・
窓の外から見える月を眺めて、気持ちを落ちつけるか・・・
しかし満月どころか星ひとつすら見えなかった
―あれだけ晴れてたのに?
その時。
真っ暗だった室内が一瞬照らされたと同時に外から鈍く響く音が聞こえる。
窓はガタガタと震えだし、うるさい音を出す。
ミディ「か・・・雷!?」
かなり近い所に落ちたかも・・・
となると・・・ボートがやばい!
そう危機感を覚えた俺は玄関へと急いだ。
レア「お兄ちゃん!」
ミディ「レア お前も・・・」
レア「ボートが心配だから・・・」
ミディ「わかった! ちゃっちゃと行ってぱっぱと済ませよう!」
玄関脇に掛けてあったレインコートを手に取るとレアは先に飛び出していった。
俺も同じようにレインコートを羽織った。
その時、端っこに置いてある護身用の短剣が目にとまった。
ミディ「一応持っておこうか・・・」
短剣を腰につけて外へと飛び出した。
暴風は丁度ルナの湖の方角から吹いていた。
雨も強く、空から降ってくるというより前からたたきつけてくる感じだ。
目もあまり開けていられない。
時々手で目元辺りを風雨から守るようにして先を急いだ