第一章 ピカピカ宝石 雷雲と共に2

りあえず朝食を済ませた俺達。
二往復してやっと全ての皿を洗い場まで持っていった。
で、こうしてあわてて皿を洗っている間にも催促の声は止まない。

シェア「早くしてよぉ!」
レア「お兄ちゃん おっそぉぉい!」
だったら手伝えよ。
とにかく現状に対する不満はあるものの言っても無駄だろうな・・・
ミディ「わかった!わかった!」
皿を洗うのは後回し。
貯めた水に皿をつけておいて、急いで外へと飛び出た。

同時に、眩しい光が俺の視界を埋め尽くす。
小高い丘の上に建てられた一軒家からは朝日に照らされた小さな町を見下ろす事ができる。
―1日の始まりだ!

ミディ「行こうか!」

全員「おー!」

俺達が行く予定の【ルナの湖】は町からかなり離れた場所にある。
とはいえ寂れたりしているわけではない。
この町の重要な水源だからな。
淡水魚も多く生息しているから、この湖には漁師の人もたびたび顔を出しているんだよな。
名前の由来は・・・何だったっけな?

ミディ「で。またなんでルナの湖なんて所にピクニック行くんだよ?」

シェア「決まってるじゃない。冒険よ ぼ う け ん!」

ミディ「冒険ねぇ~」
と俺はげんなりといかにも萎えた視線をパラディに送った。
これはどうゆうことなのかっていう説明を含めた視線を。

パラディ「あ・・・ま・・・まぁ気分転換みたいなものだよ ハハハ・・・」

―?
ごまかしたのは明らかだったがあえて聞かないでおこう。
根が正直なパラディが嘘をついたりごまかしたりしていると、よくわかる。
まぁ何か事情があるらしいからな・・・

それから少し歩くと、目的の場所に辿り着いた。
湖はかなり広く端が見えない。
遠くの方に漁船が一隻。
かなり小さく見えるから相当奥の方で魚集めているな・・・

ミディ「やっぱでかいなぁ~」

シェア「ぼさっとしてないでさぁ作るわよ~!」
というとシェアは予め材料を用意してあった場所へと連れて行く。
木材やら必要な工具やらがたくさん積んであった。

レア「じゃあ作ろっか~!」
と言うとレアが手慣れた手付きで作業を始めていった。
その作業を呆然と見つめる男衆二人。
これではあまりにも男の面子が立ちやしない!

パラディ「よーしっ!ちゃっちゃと作っちゃおう!」

ミディ「この材料なら二隻作れるな!競争だな!!」

シェアがポケ~と突っ立っていたのが片隅に見えた
今はシェアの様子を気にする時ではない。
男の面子を守る為に!!。
という意気込みで製作していた。
俺とパラディの心は一つ。
この勝負・・・勝ちはもらった!!







シェア「昼食もって来たわよぉ~!」
しばらく熱中していた俺達はこの言葉でやっと我に返った。
さ−てレアの方は・・・



レア「ん~おにぎりおいし~  お兄ちゃん食べないの?」

パラディ「そうだよ やたらとはりきってたんだからお腹もすいてるでしょ?」

ミディ「・・・・・・・・・負けた・・・男の意地が・・・」

シェア「それにしてもまだまだかかりそうね 明日になるかも・・・」

ミディ「いいや・・・・それなら日没までには完成品を拝ませてやる!」

シェア&パラディ「ええ!?」

シェア「お兄ちゃん・・・」

周りの呆れた声を聞き流しつつ、作業を続行。
昼前以上の心意気で作業を進める・・・







ミディ「どうだ!完成だぁ!!」
かなりの時間を費やしようやく完成。
我ながら良い出来。と満足してようやく周りが見えるようになった。

ミディ「あれ・・・・・・夕日は?」

シェア「馬鹿・・・」

パラディ「もう夕日はとっくに沈んじゃったよ」

レア「でも~その代わりに・・・ほら!」
とレアが上を指差したので、つられて俺も空を見上げた。

ミディ「ぁ・・・」
声にならない声をあげた。
すでに太陽が沈んだ真っ暗な空には夜の空の主達が飾っていた。
大きな満月と無数の小さな星達。
月の大きさにも驚かされるが、それに負けじと輝く星の多さ。
人がごった返す大都市からも遠い静かな村からでも見えない。
ここだけの絶景。


そして吸い込まれそうなあの満月を見たときに湖の名前の由来も思い出した。


この町がまだ名も無い村だった頃、誰かが気づいたんだ。
大きな大きな湖の存在に。
あれだけ立派な湖はこれからお世話にもなるだろう、名前をつけてやらなきゃな・・・
そうだ!
雲一つない夜には綺麗な月と星々が湖の水面に映るんだ。
だからそこからとってさ・・・

ミディ「ルナの湖にしようってな・・・」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第282号
ページ番号
2 / 63
この作品について
タイトル
剣と石と・・・
作者
キナコ
初回掲載
週刊チャオ第281号
最終掲載
週刊チャオ第313号
連載期間
約7ヵ月13日