第一章 ピカピカ宝石 雷雲と共に1
「ぉ・・ぃ!」
???「Zzz」
「・ょ・・・・ぉ・・ぃ!!」
???「zz・・ぇ?」
「ちょっと!起きなさいよ!」
耳元でうるさく怒鳴られ しぶしぶベットから身体を起こし、ググッっと背を伸ばす。
言われるがままに身体を起こすも目はまだお休み状態だ。
聞きなれた声ではあるのだが、なかなか姿がはっきりしない。
何かぼんやりと手に持っているのはわかるのだが・・・
???「誰?」
「…誰って事はないでしょ!」
説教と同時に頭に鈍い音がこだました。
???「痛っ! 寝起きから殴る必要はないだろ!」
「よし、その様子ならもう目が覚めたかな 私の事わかるよね?」
???「シェア・・・この町一番の乱暴女だろ?」
シェア「何か言ったぁ?」
???「空耳だろ」
言い終わるや、口からため息が漏れる。
今目の前に突っ立っているこのチャオがシェア。
目覚めた直後から殴ったようにとにかく気が強いし手も早い。
「大丈夫かい? ミディ」
ミディ「パラディ・・・朝っぱらからお前の姉ちゃんはこんなうるさいのか?」
パラディ「ははは・・・まぁいつもどおりだよ」
で、今こうして後から会話に参加してきた方がシェアの弟、パラディ。
シェアとは全く逆の性格でとにかく礼儀正しい。
姉があんなだから余計弟は優秀に見えるんだよなぁ・・・
シェア「で、何でわざわざあんた達二人を起こしに来たか・・・ってレアは?」
レア「いくら何でも同じ部屋では寝ないよぉ~ 双子の兄妹とはいえ男と女なんだから」
で最後に出てきたのは、俺の双子の妹 レア。
よくシェアと仲良く遊んでいるがトラブルを巻き起こす原因もこの二人のどちらか。
甲乙つけ難いが、わずかにレアの起こすトラブルの方が量も規模もでかい。
レア「でもこんな早くに何しに来たの?」
本題を忘れかけていた。
そもそも日が昇って間もないというのに他人の家のベットまで押しかけてくる理由を聞いてなかった。
それなりの訳なら納得もするだろうが・・・
シェア「決まってるじゃない。ボート作りよ!」
ミディ 「ボ?」
パラディ「オ?」
レア 「ト?」
ミディ「何にそんなものを必要とするんだよ?」
シェア「な・・・あんたねぇ・・・まさかピクニックの予定を忘れたわけじゃないよねぇ?」
ミディ「あれだけ催促されたら忘れたくても忘れられねぇよ」
シェア「今度行くのは【ルナの湖】・・・湖なのよ? だったらボートもいるじゃない」
ミディ「不器用なお前一人には至難の業・・・だから俺らも手伝うわけね・・・」
レア「わかった! でも先に朝ご飯食べてからだよ?」
っとレアが言った瞬間、パラディとシェアの目が妖しく光った(気がした)
二人ともその言葉を待ってましたといわんばかりに。
シェア「じゃああたし達のもおねが~い」
パラディ「悪いとは思うけど僕も」
レア「私も~」
最後のだけはさすがに素通りさせるわけにはいかなかった
ミディ「おい、レア!今日はお前が料理当番だぞ?」
レア「わかってま~す でもせっかく食べるのならおいしいお兄ちゃんの料理のほうがいいよねー♪」
シェア「ねー♪」
レア「それにボート作りは私の方が活躍できそうだからなぁ・・・いいでしょ?」
確かに料理はできるけれど、それ以外の工作とかは俺には不向きだ。
その分レアは異様に指先が器用で何でも作り出せる。
このまえも一枚の折り紙で何十匹ものツルを折っていたほどだ。
俺にはツルどころかキレイに折ることすらままならない。
レア「マスター!飲み物はオレンジジュースで」
ミディ「飲み物くらい自分で注げ!」
同時刻。
一見華やかな雰囲気の王宮。
しかし王室には無数の兵が整然と並んでいた。
各々が皆、鎧を纏い、武器を手にしている。
王座には王らしき人物がふんぞりがえっていた。
一流シェフらしきものが横でへこへこしながらワインを注ぐ。
杯に入ったワインをゴクリと飲み干すと、1人の兵士が王の前に進み出て言った。
「陛下、【皇石】とDr.レイは発見できてません。」
「・・・・」
「やはり・・・奴等が噛んでいると思われます」
「・・・・」
「そろそろ手を打つか」
そういうと王は懐から地図を取り出し、前に出た兵士に見せた
地図にはところどころ赤くマークしてあった
「おそらくこの辺りに逃げていると思われる。部隊を率いて何としても取り返すのだ!!」
続く