~太陽編~第七十五話 暗き山の中の競争
サンはベルゼルに出会い、そのベルゼルについていく。
ベルゼル「今から行くところは、昔、「暗黒の地」と呼ばれていたところだ。」
サン「暗黒の地?」
サンはまじめな顔つきで言う。
ダート「暗黒の地といえば、今のジャノン山・・・か」
ズィード「ジャノン山って、あの?」
クルト「一度、行ったことはあるが、別に何も変わりはなかったぜ。」
どうやら、サン以外は皆、暗黒の地、ジャノン山へ行ったことがあるらしい。
ヴァルサ「しかし、あそこは危険では?」
ベルゼル「いや平気だ。なにせ、俺がいるからな。」
と、話しているうちに辺りが暗くなってきた。
サン「暗いな・・・・・まさに闇そのものだ。」
ベルゼル「油断すると、あぶねえぜ。」
ベルゼルがしゃべった途端、辺りは森林になり、道が分からなくなってしまった。
ダート「ジャノン山は、一日に一度、形を変える。まさにそのど真ん中だな。」
ズィード「わぁ~い♪ラッキーじゃん。」
ヴァルサ「帰れないのかも知れんぞ。」
ヴァルサの言葉で、皆は凍りつく。
サン「とにかく、ベルゼル、どこへ向かうんだ?」
ベルゼル「レース・・・といこうではないか。」
ズィード「レースゥ♪」
ズィードは、嬉しさを余りに表現している。
ダート「なるほどな。ここで鍛えろというのか。」
ヴァルサ「確かに。ここで急いで油断させていれば、あの・・」
サン「おっしゃぁ!勝ってやるぜ!」
ズィード「勝つのは僕だもん!」
ダートとヴァルサはあきれた表情でサンたちを見つめ、仕方なくレースに参加することになった。
ベルゼル「ルールは簡単だ。ここを通り過ぎれば、コーラシアの塔に着く。さきにそこへつけば勝利だ。」
ズィード「さてと、位置についてと♪」
サン「まけねえぜ!」
ズィードとサンは相変わらずヤル気満々だ。
ベルゼル「気をつけろよ。俺も行くが、途中で悪霊に出くわす可能性があるし。」
ダート「ま、こいつらにそんなこといくら言おうが、無駄だ。」
ヴァルサ「では、この木の枝を上にほおり投げ、落ちた瞬間にスタートでいいな。」
ヴァルサはそこらへんに落ちている木の枝を持ってくる。
ベルゼル「いくぜ!」
ベルゼルは木の枝を高く投げる。そして―落ちた。
その瞬間に、サンは猛ダッシュ!
サン「勝ちはいただいたぜ!あばよ!」
ベルゼル「残念だが、まっすぐ進めばいいってもんじゃないぞ。」
サンは目の前に五つ道があるのに気づく。
サン「な!」
クルト「ねえ!飛ぶのってあり?」
ベルゼル「却下」
サンはそのまままっすぐ進む。そして、ズィードは一番右へ、クルトは一番左へ、ダートとヴァルサはサンの左、ベルゼルはサンの右で、それぞれ走っていった。
続く