to you ~がらくたの街 +α
・・・でも、いよいよ生まれるときが来たんですよ。
私は一人で、あなたなしで乗り越えて見せましたよ。
この瞬間が来るまで、ずっとです。
チャオは分娩室でも心中穏やかでした。
自分の死は自分の異常な身体の膨張で気づいているでしょうか。
そして、その瞬間、
チャオの身体はシャボン玉のようにはじけて、
その音とともに元気な赤ん坊が生まれて来ましたよ。
男の子ですよ。
二日後になってからは私に彼は笑いかけてくれましたよ。
私はやっと穴を埋めることが出来ました。
あなたなしでもどうやら進んで行けそうです。
だから、もうあなたを思い出して泣きません。
あなたを思い出して悲しくなんてなりません。
だから、もう一度だけ、
私の見えない遠い国からでもかまいません。
私の言葉を聞いてください。
ずっと私を忘れないでください。
あなたに会えて、・・・良かった。
fin