24話 ナイトメアマジック
とある組織 24話 ナイトメアマジック
「剣の振り方が下手だな。簡単にはじき返せる」
レッドメアが、自分の剣で少年の剣をはじいた。
「人間の力なら、振り方さえしっかりしていれば、まずチャオには負けないだろう」
「だっだからなんだ!?」
「お前、振り方が下手」
「!!!」
少年は、我慢の限界まできたようだ。レッドメアは、勿論こうなることを予測しながら故意にやっている。
「あぁ~あ。馬鹿だな」
そう呟いたのは、さきほどレッドメアに敗北したデルデゼロだった。他のチャオも同意している。
「怒り狂って力が倍増しても、振り方が余計下手になり、威力はたいして変わらず、さらに、疲れやすくなる。そもそも、人間より小さいチャオを剣で倒そうとするより、蹴って倒す方が効率がいいだろうな」
レッドメアは呟いた。少年の振る剣を避けながら。いや、正確にいえば動かなくても当たらないだけなのだが。
「さて。そろそろ落ち着かせるかな」
「どうやってだよ。人間を一撃で気絶させるなんてお前でも無理だろ?」
白線ギリギリにいるグレープソーダがレッドメアに訊く。すると、レッドメアはフッと笑って
「まぁ、待っていろ。ナイトメアマジック!!」
レッドメアがそう言った瞬間、レッドメアと少年はその場から消えた。
「あ…れ?どこだ?あれ?体が動かない…」
少年はいつの間にか闇の中にいた。ちゃんと立っている感覚はある。しかし、体は全く動かない。
「ようこそ。俺が作り出す悪夢へ」
少年の目の前にレッドメアが現れる。少年は、剣を振りたいが体が動かない。
「なっなんのつもりだぁっ!?」
「さぁ?なんのつもりだったかな」
レッドメアがとぼける。相手の体が動かないから言いたい放題である。
「ぐぅぅぅ!!斬る!斬るったら斬~る!!」
「んじゃあ、斬れるもんなら斬ってみぃ」
レッドメアが、手を少年の方に向ける。すると、少年の体は動くようになった。そのまま少年は剣を振り下ろしてレッドメアを真っ二つにした。しかし、少年の背後からため息が聞こえる。そこにいたのはレッドメアだった。
「俺が作り出す悪夢って言ったろが。だから俺が分身を1万体出そうが俺の勝手なんだよ」
レッドメアがおおげさに言う。少年はまた剣を振ろうと思ったが、体が動かない。そう、この空間の支配者は、この空間に連れてきた獲物を動かすわけにはいかないのである。
「さて、赤い悪夢とやらを見せてやろうじゃねぇか」
レッドメアがそう言うと、闇は一瞬にして真っ赤に染まった。その直後に無数の衝撃が少年を襲った。